研究課題
メゾアリールサブポルフィリンは、3つのピロール環が3つのメチン炭素を介して架橋した環状の14π芳香族化合物であり、中心にホウ素原子を有するボウル型構造という、他に類を見ない構造を有している。この特異な構造に関するさらなる性質解明を目的として、中心ホウ素原子上のアキシャルアルコキシ置換基が脱離した、ボレニウムカチオン錯体の合成、およびその構造の解明を行った。対アニオンとして、極めて安定かつ配位能の小さいカルボランアニオンを用いることで目的とするサブポルフィリンボレニウムカチオンを安定な形で収率よく合成し、またそのX線結晶構造解析に成功した。得られたサブポルフィリンボレニウムカチオンの結晶構造はほぼ完全な平面構造を示しており、サブポルフィリンはホウ素上のアキシャル置換基が脱離してカチオンになることに伴い、ボウル型から平面へと大きくその構造を変化させることが明らかとなった。また同時に、サブポルフィリンのβ位に1カ所置換基を導入した、キラルなサブポルフィリンの合成を行った。メゾアリールサブポルフィリンに対し、硝酸銅を酸性条件下作用させることで、中程度の収率でβ位にニトロ基が置換したサブポルフィリンが得られた。続いてこれをPd/C存在下水素を用いて還元し、β-アミノサブポルフィリンを定量的に得た。これら新規化合物はそれぞれX線結晶構造解析によってその構造を確認した。また、これら化合物の光物性を測定し、置換基を導入することで大きくその物性が変化することを確認した。
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Chemistry, A European Journal 15
ページ: 12005-12017