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2009 年度 実績報告書

性犯罪者の再犯防止を目的とした認知行動論的アプローチの検討

研究課題

研究課題/領域番号 09J01148
研究機関早稲田大学

研究代表者

野村 和孝  早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード性犯罪 / 再犯防止 / 共感性 / 認知行動療法
研究概要

性犯罪者の再犯防止を目的とした心理学的アプローチは認知行動療法が有効であると報告されているが,心理学的アプローチを実施する包括的なプログラムの有効性が示されているのみであり,構成要素である各要因に対する検討は十分になされていない。そこで,本研究課題では,性犯罪者の再犯防止の取り組みにおいて重要であることが指摘されているにもかかわらず一貫した結果が得られていない「共感性」に焦点をあて,認知行動論的観点から性加害行為抑止にいたるメカニズムについて検討を行った。性犯罪研究における共感性に関する取り組みは,共感的反応にいたるプロセスについて様々な検討がなされてきた一方で,性加害行為抑止との因果性に関する検討はなされてこなかった。したがって,共感的反応にいたるプロセスを操作可能な変数として明確に定義したMarshall et al.(1995)の共感性理論に基づき,「他者感情認知」,「他者視点取得」,「他者感情体験」,「他者感情体験に対する対処」の4つのステージからなる質問紙を作成し,性加害事件に対する共感的反応にいたるプロセスを記述し,さらに,共感的反応と性加害行為との関連性について,行為の生起頻度を予測しうる概念である「随伴性認知」をとりあげ共感的反応との関連性を記述した。
共感性的反応にいたるプロセスの記述と共感的反応と随伴性認知の関係性について,性犯罪者4名,一般成人男性17名(計21名)に対する調査を実施した結果,性犯罪者は,一般成人男性とは異なり,性犯罪事件における被害者体験を軽度にとらえる傾向が認められ,また,性加害行為そのものを「快」であるととらえる傾向にあることが確認された。このような傾向は,従来の「共感性」に対するアプローチの枠組みを認知行動論的観点から整理することが可能であり,性犯罪事件における被害者を手がかりとした認知行動論的アプローチが有用である可能性を示唆するものであった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 性犯罪防止における共感性の機能的側面に関する展望2010

    • 著者名/発表者名
      野村和孝・嶋田洋徳
    • 雑誌名

      早稲田大学臨床心理学研究 9

      ページ: 197-206

    • 査読あり
  • [学会発表] 性犯罪者の再犯防止維持要因の記述的検討-性犯罪者の認知的,行動的対処に焦点をあてて-2009

    • 著者名/発表者名
      野村和孝・東本愛香・小畠秀吾・嶋田洋徳
    • 学会等名
      日本心理学会第73会大会発表論文集
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2009-08-26

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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