DC1三角樹弘は今年度ブルックヘブン国立研究所に滞在し、Michael Creutz教授の下で格子場の理論特に格子フェルミオンに関する重要な研究を行った。代表的な結果としては以下の3点が挙げられる。先ず、Minimal-doubling fermionと呼ばれる格子作用を体系的に構成する方法:Twisted-orderingを提唱し、格子シミュレーションへの応用の可能性を広げた。これに基づいて新たな格子QCDシミュレーションが行われる可能性がある。次に、素朴な格子フェルミオンとMinimally Doubled fermionにおいて、Flavored mass term指数と呼ばれる補正項を導入することで、指数定理を通してゲージ場のトポロジーが正しく記述されることを示した。さらにそこからオーバーラップ演算子と呼ばれる応用上重要なフェルミオンを構成し、今まで知られていなかったクラスのカイラルフェルミオンを開発した。最後に、Staggered fermionと呼ばれる格子フェルミオンの相構造を分析し、パリティ対称性が破れる相が存在することを示した。この仕事はStaggered WilsonこれらのやStaggered Overlap成果と呼ばれる高速数値計算に適した格子フェルミオン作用の有用性を裏付けており、今後の新たなスタンダードとして格子QCDでの実用化が始まりつつある。これらの研究成果はどれもオリジナリティに溢れる画期的なものである。したがって、三角樹弘は期待以上に研究が進捗させたと言える。
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