研究概要 |
平成21年度は「Web情報の信頼性評価および判断の支援」を行うために3つの研究課題に取り組んだ. 研究課題(1)では,「ドイツはビールで有名」というフレーズで表現される知識の信頼性をユーザが疑っている際に,「デンマークはビールで有名」「チェコはビールが有名」などのように,疑わしい知識の信頼性を比較判断するために有用な知識をWebからリアルタイムに自動抽出する研究を行った.提案技術は従来の研究のような深い自然言語処理や辞書等の知識を必要とせず,またある程度の精度でリアルタイムに処理することができる. 研究課題(2)では,Q&Aサイトに投稿された回答の信頼性に着目し,信頼性の判断支援に関する研究を行った.Q&Aサイトでは不特定多数のユーザが質問に対して自由に回答を投稿することが可能であるため,質問によっては回答が不完全である,回答の信頼性が低い,といったようなケースが多く見られる.そこで,研究課題(2)では指定された質問・回答コンテンツの信頼性判断を支援するために,質問・回答コンテンツに不足している別解情報をQ&Aサイト外のWebページから自動補完する研究を行った. 研究課題(3)では,Web情報の信頼性を分析するための汎用的なモデルに関する研究を行った.提案モデルでは,任意の観点からの信頼性分析を行うために分析対象となるウェブ情報とその関連情報を何らかのデータの対で表現する.その上で,データ対間のsupport関係の強さを分析することで,対象となっているウェブ情報の信憑性を評価する.提案モデルは汎用的に構成されており,信頼性の分析対象となっている情報の種類に応じてsupport関係の設定を行うことで,テキストや画像など様々なウェブ情報の信頼性を分析することが可能となる.
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