昨年度に引き続き、ナボコフの自己翻訳についての研究を中心におこなった。今年度はそれに加え、ほかの自己翻訳をおこなった作家との比較や、比較文学的な観点からナボコフに影響を与えた作家、ナボコフが影響を与えた作家についても研究をおこなった。 研究成果は、共著書『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』、『ロシア文化の方舟ソ連崩壊から二〇年』や文芸誌に論文として発表したほか、デイヴィッド・ダムロッシュ『世界文学とは何か?』やウラジーミル・ナボコフ『ナボコフ全短篇』など自分の研究分野にとって重要な書籍を共訳した。 ロシア文学会、ナボコフ協会の大会、世界文学シンポジウムなどに参加し発言しただけでなく、京都大学でおこわれているアーダ読書会に定期的に出席し、注釈作りに貢献した。 11月にはニューヨーク公共図書館のバーグ・コレクションおよびコロンビア大学のパフメチェフ・アーカイヴで調査した。とくに未発表のノートおよび未公刊の書簡を精査した。 1月にはオークランド大学(ニュージーランド)でおこなわれた国際ナボコフ学会において発表 "Nabokov and Hearn:Where the Transatlantic Imagination Meets the Transpacific Imagination"をおこない、成果を発表し、海外の研究者と交流した。また3月には日本通訳翻訳学会において講演「ナボコフと翻訳『オネーギン』翻訳を中心に」をおこなった。
|