地球温暖化に関する近未来予測実験では、大気海洋結合モデルを初期値化し、30年先までの気候予測を目指している。モデルの初期化には、長期にわたる良質の観測データが必要となるが、XBT (Expendable Bathythermograph)は、水温の鉛直分布または水温の鉛直分布を計測する測器で、特に1970年代から2000年代にかけての主要な観測器であるが、他の観測器による観測に比べて、高温バイアスが存在することが指摘されている。そこで従来の観測データを同化した予測実験(HCSTctl)と、XBTバイアス補正後の観測データを同化した予測実験(HCSTxbt)の比較を行い、XBTバイアス補正の影響を調べた。その結果、HCSTxbtの太平洋域で平均したRMSEはHCSTct1のものより約5%小さく、特に、熱帯や亜熱帯でRMSEの低下があった。太平洋域で最も卓越する変動でる太平洋十年規模変動(PDO)の予測結果を比較したところ、HCSTxbtおよびHCSTct1のPDOに関するRMSEは、観測のRMSや持続予測のRMSEよりも約7年間小さい。一方、NoASと比較すると、HCSTxbtは、信頼区間75%で予測可能であるが、HCSTct1は50%である。すなわち、HCSTxbtの予測スキルは、HCSTct1に比べて、約5年間高かった。
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