研究課題
従来のCdSeナノ粒子に代わる蛍光ナノ材料の開発として、Cu-In-S系ナノ粒子について研究を進めてきた。平成21年度では、青色~赤色まで全蛍光色を揃えるために、ZnとGaを添加し達成する予定であったが、Gaの添加は可能ではあったが、蛍光波長の制御ができなかった。しかし、Znの添加は独自で開発したポストトリートメント法を用いて容易に可能とし、Zn添加のタイミングを変えることで535(緑色)~700(赤色)nmでの蛍光波長制御が達成できた。量子収率も10~25%まで上昇し、高輝度化にも成功した。しかし、450~530nm(青色~緑色)での蛍光波長制御は達成できなかった。合成条件の探索が非常に難しいため、多数の条件を網羅的に探索可能にするため、当研究室で開発中のマイクロコンビナトリアルシステムの構築を1年間行った。原料選択から混合、合成、分析をPC制御で行うシステムの構築を行い、ナノ粒子合成用コンビナトリアルシステムの検証を行うために、CdSeを実際に合成をしながら行った。合成条件は反応時間、加熱温度、アミン濃度、アミン源(ドデシルアミン、オクチルアミン、オレイルアミン)、Cd源(Se源)濃度、そしてCd/Se比をプログラム制御のみで振り、合計約4100実験を行った。その結果、システムとして再現性が見られ、さらには全ての過程を行うために1実験あたり約5.5分という従来法ではありえない時間で行うことに成功した。以上の成果に関しては平成22年度の1年間で様々な学会や論文にて報告を行う予定にしており、今後はこのシステムを用いて完全結晶のCuInS2ナノ粒子の合成を目指す。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Mater.Res.Soc.Symp.Proc., 2009 1176E
ページ: Y03-12