研究概要 |
昨年度に引き続き,次世代型ディスプレイとして期待されるシステム・イン・ディスプレイの実現を目指し,透明基板(ガラス・石英等)上に高品質薄膜トランジスタを形成することを目的として,高いキャリア移動度を有する歪みシリコンゲルマニウム(Si_<1-x>Ge_x、(0≦x≦1))擬似単結晶を形成する手法を検討した. 研究代表者は,金属誘起固相成長の触媒金属として新たにニッケル(Ni)に着目した.Ni供給量・成長温度等の効果を電子後方散乱回折像法により詳細に調査し,Si薄膜が(110)方位に優先配向する成長条件を見いだした.また,本手法と昨年度確立した「アルミニウム誘起層交換成長によるSi(100)及び(111)擬似単結晶の形成法,SiGeミキシング誘起Ge溶融成長法」を重畳し,(100),(111),(11O)面方位を有するGe薄膜の透明基板上への混載に成功した. 更に,本プロセスで形成したGe(100),(111),(11O)薄膜の結晶性及び歪み量を透過型電子顕微鏡法,偏光ラマン分光法により詳細に評価し,Ge薄膜は無欠陥であること,約0.3%の2軸伸張歪みが印加されていることを明らかにした.最終年度においては,単結晶Ge薄膜に導入されている歪みの起源を明らかにし,更なる高歪み化プロセスを構築する.
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