研究概要 |
ユークリッド空間,またはその球面上の有限個の点の配置において,どのようなものが"良い"と言えるかという問題は,代数的組合せ論の主問題のひとつである。"良い"有限集合としてs距離集合,求積公式(球面デザイン,ユークリッドデザイン)等があげられる。特に良い有限集合に対しては,代数的構造(アソシエーションスキーム,コヒアラント配置)が付随することが知られる。本研究では関連する問題に対して成果を挙げることに成功した。 距離集合において長く未解決であったLarman-Rogers-Seidelの定理の一般化に成功し,その論文がDiscrete Math.に掲載された。その結果に基づき得られた,7次元21次元球面の最大3距離集合の決定の論文(Musin氏との共同研究)もEuropean J. Comb in.への掲載が決まった。 球面tデザインとs距離集合の両方の性質を持つ球面上の有限集合に対して,既存の上界を改善することに成功した(須田氏(東北大)との共同研究)。また,その論文では特別な性質をもつアソシエーションスキームであるQ多項式スキームについての,新しい上界も与えている[論文投稿中]。栗原氏(東北大)との共同研究により,Q多項式スキームを,Larmanたちの定理の一般化に用いた値を使うことにより,特徴づけることに成功した[論文投稿中]。その双対として知られるP多項式スキームについても同様の結果を得て,執筆中である[栗原氏との共同研究]。平尾氏(名古屋大),澤氏(名古屋大),Vatchev氏(UTB(US))との共同研究により,ある特別なユークリッド空間上の求積公式の非存在定理をLarman-Rogers-Seidelの定理を用いて,与えることにも成功した[論文投稿中]。
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