研究概要 |
1.アーベル曲面上の安定層のモジュライの研究 これは吉岡康太(神戸大)との共同研究であり,代数幾何挙に分類される. 上紀のモジュライ空間の構造を,半等質層とフーリエ向井変換を用いて調べた.半等質分解という安定層の分解の概念を導入し,曲面のビカール数が1の時,その存在が安定層のチャーン指標のみで判定できる事を示した。判定条件には算術郡や整数係数2次形式が自然に現れる.応用として,安定層のモジュライと点のヒルベルトスキームとの間の双有理変換を明示的に構成した. 以上の結果をプレプリントにまとめ,投稿した. 2.量子代数とマクドナルド多項式の関係の研究 これは白石潤一(東京大),星野歩(上智大),ボーリャ・フェイギン(モスクワ自由大学)らとの共同研究であり,量子代数の表現論に分類される. マクドナルド多項式は2つのバラメータを持つ対称多項式である.これはある可換な差分作用素族の導固有関数でもある.我々はこの差分作用素族がディン・庵原代数と呼ばれる量子代数とフェイギン・オデスキー代数と呼ばれる有理兩数の成すある可換代数と密接な関係を持つことを示した.証明には自由場表示の手法を用いる.またこれらの代数は変形代数と呼ばれる別の量子代数とも関連することが分かった. これについては論文1本及びプレプリント1本にまとめた,後者は投稿済みである. 3.AGT予想 これは.ネクラソフ分配函数と呼ばれる射影曲面上の枠付き連接層のモジュライ空間の不変量と,ビラソロ代数のコンフォーマル・ブロックが一致するという予想である.前者は代数幾何,後者は量子代数の表現論と関係する. 量子代数の観点からビラソロ代数のホイタッカーベクトルの性質を自由場表示を用いて調べた.その結果,ジャック対称多項式と呼ばれるマクドナルド多項式の特殊化を用いて,ホイタッカーベクトルが明示化出来ることが分かった. これについてはプレプリント1本にまとめ,投稿した.
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