研究課題
白亜紀における被子植物の出現・放散とそれに伴う陸域生態系の変化を復元するため,植物バイオマーカーと植物化石の抵抗性高分子に着目して分子古生物学的研究を行った。1.古植生指標の検討:北海道三笠地域(蝦夷層群)、福島県広野町(双葉層群)および北海道大学博物館収蔵標本より、白亜紀から古第三紀の被子植物・裸子植物化石をサンプリング・収集し、バイオマーカー分析を行った。植物バイオマーカーは、その起源生体物質からの続成経路が多岐にわたるため、化石や堆積物中では多種の脂肪族・芳香族化合物として存在する。本研究ではそれらを網羅的に同定し、特に芳香族画分の被子・裸子植物バイオマーカーに着目して被子植物/裸子植物植生指標を新たに定めた。新指標は従来の脂肪族化合物を用いた古植生指標と比較しても化石の分類群をより明確に反映した。2.北海道白亜系の古植生復元:北海道大夕張地域、苫前地域に分布する白亜系堆積岩(Albian-Cenomanian)の予察的なバイオマーカー分析を行い、有機物の熟成度や堆積環境を評価した。植物バイオマーカーは芳香族画分で卓越し、芳香族植物バイオマーカーを用いた新しい古植生指標を応用できる。ルーチン分析と解析を行い古植生復元の議論を行う。3.統合深海掘削計画第320次掘削航海(IODP Exp.320)に参加し,太平洋東部赤道域における始新世から鮮新世の時代に堆積した堆積物コアの記載とサンプリングを行った。遠洋性堆積物を用いた沿岸域の古植生や陸上古環境の復元の可能性について検討するため植物バイオマーカー分析を行う。4.抵抗性高分子分析:植物化石と現生植物を用いて、超音波抽出・高温での封管抽出・加水分解を連続的に行い、各段階で得られる化合物をGC-MSとGCで同定・定量し、化石高分子の化学分類学的情報の保存や続成変化について検討した。
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Organic Geochemistry VOL.41(印刷中)
Scientific Drilling No.9.doi : 10.2204/iodp.sd.9.01.2010(in Print)
ページ: 4-15
Integrated Ocean Drilling Program Preliminary Report 320.doi : 10.2204/iodp.pr.320.2009
ページ: 1-175
Integrated Ocean Drilling Program Preliminary Report 321.doi : 10.2204/iodp.pr.321.2009
ページ: 1-112