研究概要 |
電気推進やソーラーセイルなどの微小加速度推進装置はより少ない燃料で目的地にたどり着くことができるため、将来の深宇宙探査においてより一層の活躍が期待される。しかしながら、このような微小加速度を発生させながらの軌道決定技術はまだ確立できていない。現在の軌道決定では、巡航フェーズにおける十分な決定精度を得られておらず、クリティカルフェーズでは微小加速度推進装置を切る必要があり、その性能を十分に活かしきれていない. 本研究では電気推進やソーラーセイルなどの微小加速度を考慮した精密軌道決定技術を確立し、巡航フェーズ運用に耐えうる軌道決定精度を達成する。そして、クリティカルフェーズにおいても、電気推進やソーラーセイルを使用できるようにすることを最終目的とする。具体的には軌道決定のための詳細な電気推進、ソーラーセイルのモデルを構築することで、軌道決定精度やその信頼性を高める。 本年度は主にソーラーセイル実証機「IKAROS」に関する軌道解析を行った.この人工衛星は2010年度に打ち上げられる予定であり,巨大な膜面を軌道上で展開し,太陽光圧による推進の実証を目的としている.その実証は電波航法(レンジとドップラー)を用いた軌道決定によってなされる.この人工衛星は柔軟な膜面を軌道上で展開するため,地上試験だけの情報では正確な太陽光圧による推進力を検知することはできない.そのため,本研究で課題としている軌道決定によるソーラーセイルのモデリングが重要な役割を果たす.ソーラーセイルを正確にモデリングすることで,将来のソーラーセイルを用いた深宇宙探査をより効率的に行うことができる.本研究では,IKAROSのコンフィギュレーションを考慮してソーラーセイルをモデル化し,その妥当性を検証した.この成果は3回の国際学会で発表している.
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