研究課題
本研究の目的は、インドネシアのジャワ農村を事例とし、共同体規範や基礎的な経済選好(利他性や信頼、リスク回避度、時間割引率など)を考慮に入れた枠組みで人々の経済行動を捕らえなおし、隣人間でのインフォーマルな相互扶助の成立メカニズムを明らかにし、効果的な小規模融資プログラムの方向を理論的・実証的に検討することを目的とする。今年度は、ジャワ農村の最貧困層に焦点を当て、ネットワークの形成方法や、相互扶助組織へのアクセスについて調査・分析を実施した。その結果、最貧困層であっても共同体内での相互扶助システム(現地語でarisanと呼ばれる貯蓄グループ)から借入ができること、リスク選好の影響は夫婦間で異なる効果があることなどが明らかとなった。本研究では、他地域との比較を通して多様な農村共同体に応じた援助の在り方を探求することを目指しているが、本年度の後半には、インドの西ベンガル州においてネットワーク形成や相互扶助に関する調査を行い、農民のリスク選好と時間割引率に関する選好について実験によりデータを得た。これらのデータは現在分析中であり、ジャワ農村で得た知見と比較することにより新たな政策含意を得ることが期待される。本研究で得られた成果は、新たな知見に基づく政策含意を提供しており、学術面のみならず開発の実践面にも貢献するものである。なお、研究代表者は、これらの成果を論文にまとめ国内外の学術雑誌への投稿や、学会発表を通じて公表した。
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Conference Proceedings of 4th ARSA International Conference held in Legazpi City, Philippines
巻: (forthcoming 掲載確定)
Center for Experimental Research in Social Sciences Working Paper Series
巻: No.111 ページ: 1-14