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2010 年度 実績報告書

巻貝と吸虫類の共種分化解析: 寄生生物の多様化機構の解明に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 09J02428
研究機関京都大学

研究代表者

三浦 収  京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(PD)

キーワード共種分化 / 寄生虫 / 中南米 / アジア
研究概要

本研究の目的は、宿主と寄生生物の相互作用に着目して、進化生態学の重要課題である生物多様化機構を解明することである。本年度は、前年度に得たアメリカ熱帯地方のデータの補強と日本で得た宿主(Cerithidea)と寄生虫(二生吸虫)のデータ解析を行い、太平洋を挟んだアメリカ-アジア間で生じた宿主の種分化が寄生虫の多様化に及ぼす影響を明らかにすることを目標とした。まず初めに、日本のCerithideaに感染している寄生虫相を明らかにするために、日本に生息する5種のCerithideaの解剖実験を行った。その結果、合計32種の寄生虫を得ることができた。これらの寄生虫とアメリカの寄生虫との関連性を分子系統学的な手法を用いて比較したところ、アメリカとアジアの寄生虫は比較的古い時代に分化していたことが明らかになった。特に注目すべき点として、アジアに生息するCerithidea largilliertiはアメリカに生息するCerithideaと近縁な関係にあるにも関わらず、その寄生虫はアジアで見つかった他の巻貝に感染する寄生虫に遺伝的により近縁であることが明らかとなった。このことは、太平洋はこれらの寄生虫にとって越えることの難しい障害であることを示すと共に、C.largilliertiに感染している寄生虫はアジアの他の巻貝から寄主転換をしたことを示している。これらの結果は、地理的に大きく隔てられている集団間では共種分化よりも寄主転換が二生吸虫の多様化に大きな影響を及ぼす可能性を示唆している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Different development strategies in geminate mud snails, Cerithideopsis californicla and C.pliculosa across the Isthmus of Panama2011

    • 著者名/発表者名
      Miura, O., Frankel, V., Torchin, M.E
    • 雑誌名

      Journal of Molluscan Studies

      巻: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular phylogenetics reveals differential divergence of coastal snails separated by the Isthmus of Panama.2010

    • 著者名/発表者名
      Miura, O., Torchin, M.E., Bermingham, E.
    • 雑誌名

      Molecular Phylogenetics and Evolution

      巻: 56 ページ: 40-48

    • 査読あり
  • [学会発表] パナマ地峡の形成による潮間帯貝と寄生虫の多様化2011

    • 著者名/発表者名
      三浦収
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2011-03-09
  • [学会発表] 空飛ぶ貝:中米陸橋を越えた潮間帯貝2010

    • 著者名/発表者名
      三浦収
    • 学会等名
      日本ベントス学会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2010-10-10
  • [学会発表] パナマ地峡の形成による海産貝の種分化2010

    • 著者名/発表者名
      三浦収
    • 学会等名
      日本進化学会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2010-08-04

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公開日: 2012-07-19  

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