今年度の目標はATF2実験のマイルストーンである垂直方向に37nmの電子ビームサイズを測定することであった。その足掛かりとするため、夏までの実験で100nm程度を測ることを想定していた。本装置は昨年度に大きな改良を行い、その後は多少の不具合はありながらも順調に大きなビームサイズ測定での実績を重ねていた。 2010年5月にはビームサイズ最小化のための専用のビームタイムをとり、加速器チューニンググループとの協力により、310nmの測定に成功した。本装置ではこれよりさらに小さいビームサイズを測定するには、光学系の経路を変更する必要がある。その切り替えが、この実験中には手早く行えず、チューニングの途中でビームサイズを測定できなくなってしまい、ここまでの測定結果にとどまった。 夏期は加速器の運転が停止するため、その間に春の実験で上手く行えなかった光学系の切り替えについて、問題点の洗い出しを行った。また、測定に用いるレーザー光の位置・角度の安定度を高めるため、遠隔操作での調整機構の追加、温度安定化ための断熱対策を施した。 以上の改良を終えて、2010年11月から加速器の運転が再開され、12月には本実験に入る予定であったが、本ビームサイズモニタの要であるレーザーが故障し、しばらく実験が中断した。その後レーザーは修理されたが、加速器施設での火災に遭い、加速器の運転自体が中断し、さらに3月には地震によって、運転を再開できずにいる。
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