日本近世における幕府(将軍)と藩(大名)による政治秩序の形成・展開過程を解明するという本研究の課題にしたがって、本年度は近世前期の政治史に関わる幕府や各大名家の関連史料を収集することを中心に行った。幕府関係史料としては、『徳川実紀索引』・『明暦年録』・『寛文年録』等の刊行されている基本史料を購入した。大名家関係史料としては、2009年9月10・11日に山口県文書館において「毛利家文庫」の閲覧・撮影、2010年1月27・28日に岡山大学附属図書館において「池田家文庫」の閲覧・撮影を行った。デジタル撮影により収集した主な史料は、「公儀所日乗」・「福間彦右衛門覚書」・「高須市介書状」・「秀就様御代之記録物」・「京都大坂長崎御屋敷事」(以上、「毛利家文庫」)・「芳烈公御手留」・「万覚書」・「御留帳」・「故羽林君御記録」・「光政公被仰出留」(以上、「池田家文庫」)である。また、近世前期政治史に関わる重要な大名家関係の史料集である『細川家史料』・『綿考輯録』・『萩藩閥閲録』・『梅津政景日記』・『池田家履歴略記』・『池田光政日記』他を購入した。これら収集史料については、研究課題に関連した記事の検索作業を進めており、特に、近世前期の譜代大名の位置づけ、京都と大名家の関係、について多くの事実を明らかにすることに成功した。前者の成果については学会で口頭報告し、学術雑誌への論文掲載(論題「近世初期譜代大名論-軍事編成と所領配置-」)が決定している。今後も本年度に収集した上記史料の分析を続けていくことにより、さらに多くの重要な史実が解明されていくはずである。
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