(1)南アフリカ・クルマン地域調査(2009年9月7日から9月17日):南アフリカ、バーバートン地域、クルマン地域の調査を行った。この地域には35~32億年前、25~23億年前の海洋堆積層が産出する。各地域で数日ずつの地質調査を行い、岩石試料を採取した。現在採取試料の分析を精力的に進めている。 (2)カナガ・サンダーベイ地域、アティコカン地域、エリオットレイク地域調査(2009年9月24日から10月2日):カナダ・スペリオル湖沿岸地域の地質調査を行った。この地域には本研究で議論の対象にしている30~20億年前の堆積岩が分布している。申請者は過去2度にわたりサンダーベイ地域、アティコカン地域の調査を進めてきたが、今回新たにエリオットレイク地域の調査も行った。各地域で数日ずつの地質調査を行い、岩石試料を採取した。現在、採取試料の分析を精力的に進めている。 (3)大阪大学窒素安定同位体比分析出張(2009年計5週間、2010年計2週間):堆積岩に残された有機物の窒素同位体比の測定を行った。測定は大阪大学理学研究科松田研究室、橋爪光助教の指導のもと行った。同研究室で所有する測定ラインは日本で唯一"段階燃焼方式"による窒素同位体比分析を行うことができる。これは試料の燃焼温度を段階的に変化させながら、発生する窒素ガスを分析する手法であり、有機物中の窒素の存在形態をより詳しく調べることができる。現在、この手法によって有機物中窒素安定同位体比に加熱温度に応じたバリエーションがあることがわかりつつある。 上記(1)~(3)の作業を進めながら、19億年前のカナダ・ガンフリント層に関する研究について、国内外の学会に積極的に参加し研究成果を発表・議論するとともに、論文投稿の準備を進めている。
|