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2009 年度 実績報告書

木星雲層鉛直構造の観測的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09J02654
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 隆雄  東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード木星 / 雲層構造 / 地上撮像観測 / 地上分光観測 / 液晶チューナブルフィルター / カッシーニ探査機 / 放射伝達 / 散乱位相関数
研究概要

木星大気ダイナミクスの解明には、詳細な大気鉛直構造の理解がその手掛かりとなる。昨年度までに開発した「放射伝達モデルと多変数パラメータを制約するフィッティング手法」の効率化を図り、2008年春に西はりま天文台・なゆた望遠鏡を利用して取得した「反射太陽光の多波長分光撮像観測データ」を再解析した。これにより、木星雲層上部構造の顕著な特徴である「帯」と「縞」の違いが、雲頂高度の差ではなく雲層の光学的特性(一次散乱アルベド)に起因することを見出した。更なる研究深化のため、以下に述べる2つの課題に取り組んだ。1.上記の放射伝達計算で必須となる雲粒子の光学散乱特性の精度向上のため、広い太陽位相角で高精度データを提供できるカッシーニ探査機の木星フライバイ観測データ(2000-2001年)の解析を進めた。これにより、従来利用されてきたパイオニア探査機データに基づく散乱位相関数に比べ、後方散乱が弱いという結果が得られた。さらに詳しく調べるため、現在ミー散乱理論を木星雲に適用したモデル計算を行っている。2.成層圏及び、雲層下部の鉛直構造を制約するため、それぞれ、メタンによる光吸収の強い2ミクロン帯と「大気の窓」である透過率の高い5ミクロン帯を用いた観測をNASA/IRTF赤外望遠鏡にて行った。現在解析途上ではあるが、成層圏では、ヘイズの水平分布が南北の極域で異なることは知られていたが、それだけではなく、鉛直構造にも非対称性を示唆する結果が得られた。一方対流圏下部では経度方向にも雲分布が不均一であることが確認された。しかし、5ミクロン帯は地球大気による吸収が想像以上に厳しく、マウナケア山頂といえども、分光観測には不適であることが分かった。今年度得られた研究成果は、国内外の学会において口頭・ポスター発表を行った。現在今年度までに得られた結果を論文にまとめる準備を進めている。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Cassini/ISSデータで探る木星雲の散乱特性について2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆雄
    • 雑誌名

      第24回大気圏シンポジウム・集録

  • [雑誌論文] Cassini/ISSデータを用いた木星雲粒子の散乱特性に関する考察2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆雄
    • 雑誌名

      第10回惑星圏研究会・集録

      ページ: 147-150

  • [雑誌論文] Scattering Properties of Jovian Cloud Particles from Cassini/ISS Data2009

    • 著者名/発表者名
      Takao M.Sato
    • 雑誌名

      Bulletin of the American Astronomical Society Vol.41, No.3

      ページ: 1010-1011

  • [学会発表] IRTF/SpeXを用いた木星成層圏ヘイズの緯度分布構造2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆雄
    • 学会等名
      第11回惑星圏研究会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2010-03-16
  • [学会発表] Cassini/ISSデータで探る木星雲の散乱特性について2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆雄
    • 学会等名
      第24回大気圏シンポジウム
    • 発表場所
      相模原
    • 年月日
      2010-02-19
  • [学会発表] Investigation of Jovian cloud structure by ground-based multispectral Imaging2009

    • 著者名/発表者名
      Takao M.Sato
    • 学会等名
      NCU-CPS Japan-Taiwan Planetary Science Workshop
    • 発表場所
      台湾・国立中央大学
    • 年月日
      2009-12-08
  • [学会発表] Scattering Properties of Jovian Cloud Particles from Cassini/ISS Data2009

    • 著者名/発表者名
      Takao M.Sato
    • 学会等名
      41st DPS Meeting, American Astronomical Society
    • 発表場所
      Fajardo, Puerto Rico
    • 年月日
      2009-10-06
  • [学会発表] Cassini/ISSデータを用いた木星雲粒子の散乱特性2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆雄
    • 学会等名
      第126回地球電磁気・地球惑星圏学会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2009-09-28
  • [学会発表] IRTF/SpeXを用いた木星5-micron帯の分光観測2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆雄
    • 学会等名
      第126回地球電磁気・地球惑星圏学会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2009-09-28
  • [学会発表] 多波長分光撮像観測により明らかとなった木星雲層鉛直構造の緯度変化2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆雄
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2008年大会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2009-05-20

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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