研究課題
蛍光バイオイメージングに用いるための、ポリ(エチレングリコール)(PEG)修飾発光ナノ粒子の設計を行った。表面修飾剤に用いるために、PEGの末端にポリ(4-ビニルベンジルホスフォネート)(PVBP)セグメントを有するブロック共重合体(PEG-b-PVBP)を新規に合成することに成功した。このPEG-b-PVBPを希土類含有酸化イットリウム(Y_2O_3)ナノ粒子(YNP)表面に固定することで、PEG-b-PVBP修飾YNPを調製した。調製したPEG-b-PVBP修飾YNP表面のポリマー吸着を評価したところ、これまでに報告してきたPEG-b-ポリアクリル酸修飾YNPと比較して、PEG鎖がYNP表面に高密度に修飾されていることが明らかとなった。このとき、PEG-b-PVBPは極めて強固にYNP表面に固定されており、得られたPEG-b-PVBP修飾YNPは生理条件下において優れた分散安定性を有することがわかった。生理条件下に分散させた際、PEG-b-PVBP修飾YNPは安定して可視発光および近赤外発光を示すことも確認された。また表面未処理のYNPは酸性条件下において容易に溶解してしまうのに対して、PEG-b-PVBP修飾YNPは長時間溶解することがなく、安定して長時間分散状態を保つことも明らかになった。この結果より、PEG-b-PVBPで表面修飾を行うことで、YNPの分散安定性のみならず、耐酸性をも飛躍的に向上させることが示された。これらの結果から、新規に合成したPEG-b-PVBPを用いてYNP表面を修飾することで、生理条件下及び酸性条件下といった過酷な環境下においても優れた安定性を確保することができ、in vivo環境を中心とした、様々な蛍光バイオイメージングに利用可能な材料を設計することに成功した。
すべて 2010 2009
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Journal of Physics : Conference Series 191
ページ: 12001-12004