研究概要 |
近年ではさまざまな分野でマルチメディアデータへの要望が高まってきたため,そのコンテンツの総数は爆発的に増加した。よって,それらを管理するための効率のよい検索システムの開発が求められている。 研究の目的として,研究者らはAttributed Relational Tree(ARG)を用いた精度のよい検索システムを提案した。本検索システムは対象として画像,3次元モデル,モーションデータを扱い,また,それらを複合した検索を可能にするものである。その目的を達成するために、平成21年度の実施目標として、ARGマッチング法の改良、統合ARGの構築方法の確立を挙げた。 ARGマッチング法の改良に関してはツリーをベースとしたAttributed Relational Tree(ART)を提案し,それらをマッチングする方法を考案し,従来のものとの比較実験を行い評価した。結果として,目的であった検索の高速化は,検索時間を約90パーセント削減するといった結果から、達成したと思われる。ただし,検索精度が従来のものと比べて下がってしまったため,この改善が求められる。 統合ARGの構築方法に関しては,申請書に提案したものを,関連技術を調査し改善したものを実際に実装した。ただし,ARGに付加する属性の選択は平成22年度の課題であり,検索実験もこれからである。学習方法に関しても,正例・負例に対して個別に学習する方法を考案した。これは従来のARGマッチングで行われていた学習を拡張したものとなっている。 以上の点から,多少の課題は残すものの,年次計画に対する進捗に関しては問題ないと思われる。また、従来の検索手法より良い精度で検索を行い、さらにその手法の高速化を行うという目的は達成した。
|