研究課題
本研究の目的は高速点火レーザー核融合実験における、超高密度の核融合燃料プラズマの面密度(度半径積)を実測するための計測器を開発する事である。従来困難とされ実現されてこなかった、散乱中性子計測法という計測原理に着目し、この手法を実現させるための研究を展開する。従来、計測原理に基づいた計測器の概念設計はなされてきたものの、Li-6製の超高速応答中性子シンチレーターが本質的に必須であり、そのような素材は開発されていなかった。そこで著者は素材開発から着手し、その新素材を用いて実際に装置を設計・製作し、実際の高速点火核融合実験において核融合燃料プラズマの面密度を実測するという研究計画を立てた。本年度の研究ではLi-6シンチレーターの高速化のための研究を全面展開した。大阪大学を中心としたグループの他に、東北大学の中心としたシンチレーター材料開発グループ、九州大学を中心としたリチウムガラス研究グループ、にシステム設計のために企業も加わり、合計8研究機関で強力な研究体制を構築し、材料探索を行った。従来のLi-6シンチレーターを超える中性子検出感度(リチウム原子密度)と、従来のシンチレーターよりもおよそ10倍高速なLi-6シンチレーター素材の開発に成功した。本研究成果は査読付き英語論文雑誌に筆頭著者で出版された。さらに国際学会に2件それぞれ口頭発表およびポスター発表で参加し、各々のプロシーディングスとして査読付き英文論文雑誌に筆頭著者で2件の掲載が決定している。また共著者として2件の英文査読付き論文が投稿された。国内学会・研究会は口頭発表で5件講演し、内3件は招待講演となった。本新素材は産学共同で特許出願を行い、また新聞発表も行い、掲載された。現在新素材は装置化に向けての量産化と加工がおこなわれている。来年度初頭にはプロトタイプの完成と、当研究所または海外の核融合実験装置、または大型中性子生成装置を用いて装置の性能評価を行う。
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Review of Scientific Instruments 80
ページ: 113504
Journal of Physics : Conference Series 未定(accept 済み、未出版)
IEEE Transactions on Nuclear Science Proceedings of SCINT 2009 未定(accept 済み、未出版)