研究課題
本研究の目的はレーザー核融合実験における、超高密度の核融合燃料プラズマの面密度(度半径積)を実測するための計測器を開発する事である。従来困難とされ、未だ実現されていない、散乱中性子計測法という計測原理に着目し、この手法を実現させるための研究を展開する。従来、計測原理に基づいた計測器の概念設計はなされてきたものの、Li-6製の超高速応答中性子シンチレーターが本質的に必須であり、そのような素材は開発されていなかった。そこで著者は素材開発から着手し、その新素材を用いて実際に装置を設計・製作し、実際のレーザー核融合実験において核融合燃料プラズマの面密度を実測するという研究計画を立てた。本年度の研究では昨年度開発に成功した新材料シンチレーターをもちいた新型計測器のプロトタイプが完成した。米国National Ignition Faeilityでの核融合爆縮実験で達成しうる高い面密度であれば散乱中性子が十分に観測できる事を計算により示した。また阪大の激光XIIレーザー装置を用いた基礎性能評価実験では設計通りの性能が確認され、計算予測の妥当性を裏付けた。また阪大の核融合実験に適応するために、さらに高感度化を目指した装置設計を進めており、2011年に1月にプロトタイプ計測器が完成した。今後実験的な性能検証と問題点の改善をすすめる。本研究成果は査読付き英語論文雑誌に筆頭著者で出版された。さらに国際学会に2件にポスター発表で参加し、プロシーディングスとして査読付き英文論文雑誌に筆頭著者で掲載された。国内学会は口頭発表で5件講演し、2010年レーザー学会と2010年核融合エネルギー連合講演会で優秀論文賞を受賞した。また2010年9月に1年半期間短縮で大阪大学の博士号を取得し、同講座内では過去最短学位取得の記録を樹立した。引き続き学振特別研究員PDとして研究を展開している。今年度は海外の核融合実験装置を用いた装置の散乱中性子の実測実験を予定している。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件)
Review of Scientific Instruments
巻: 81 ページ: 10D303
Review of Scientific Instruments (Short Note)
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PHYSICS OF PLASMAS
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