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2011 年度 実績報告書

クワガタの大顎におけるサイズ制御メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 09J03335
研究機関北海道大学

研究代表者

後藤 寛貴  北海道大学, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC1)

キーワード進化発生学 / 分子発生学 / 幼若ホルモン / クワガタムシ / 表現型可塑性 / 大顎 / 性決定遺伝子 / 形態形成因子
研究概要

1.大顎サイズ制御に関する内分泌制御メカニズム
オスの大顎発達は,内分泌制御因子の1つである幼若ホルモンが促進していることを実験的に示した(PLoS ONEに掲載済).
2.大顎サイズ制御に関する分子発生学的メカニズム
大顎発達の分子機構について,材料種であるCyclommatus metalliferにおいて,16種類の候禎遺伝子のホモログ配列を単離し発現動態を解析すると共に,RNAiによる機能解析を行った.機能阻害により,大顎のサイズ・形態に影響が現れる遺伝子が複数特定された.これらの遺伝子は大顎の発達・形態形成に関与していると考えられる.
3.大顎サイズの性的二型を制御する分子発生学的メカニズム
大顎サイズの性的二型をもたらす分子機構を探るため,昆虫類で広く保存されている性決定遺伝子dsxについて,配列の単離・発現解析・機能解析を行った結果,dsxはクワガタの性特異的な大顎発達を制御する重要な因子であることが明らかになった.
4.大顎相体サイズに対する人為選択の試み
クワガタの大顎サイズは体サイズに相関して大きく変化する.しかし,同じ体サイズであっても,個体ごとに大顎サイズには若干の個体差が見られる.この大顎の相対サイズの決定には遺伝的影響が大きいことを示した(Entomological Scienceに掲載受理済).さらにより長い大顎を持つ系統と,より短い大顎を持つ系統を作成するため,大顎の相対サイズに対して人為選択をかけ,5世代の選択を経て,相対大顎サイズが異なる系統を確立した,

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

クワガタの大顎サイズ制御に関わるホルモン経路の役割については,幼若ホルモンが重要な役割を果たしていることを示し,すでに査読付き国際誌に掲載されている.また下流の分子機構についても17つもの遺伝子に対して発現・機能解析を行いいくつかサイズ制御に関わる遺伝子を同定した。ここまでの成果は概ね計画通りであり、さらにこれに加えて性決定に関する分子機構が雌雄の大顎サイズ差を生み出していることを発見したため、計画以上の進展と言える.

今後の研究の推進方策

今後は得られた知見について,その制御機構の上位下位関係や未知の制御機構の探索など,サイズ制御機構の統合的なメカニズムについて理解し,さらにその進化プロセスについて,種間比較などを通して明らかにしていく必要がある.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Juvenile hormone titer and related gene expression during the change of reproductive modes in the pea aphid2012

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa A, Ogawa K, Gotoh H, Walsh KT, Tagu D, Brisson AJ, Rispe C, Jaubert-Possamai S, Kanbe T, Tsubota T, Shiotsuki T, Miura T
    • 雑誌名

      Insect Molecular Biology

      巻: 21 ページ: 49-60

    • DOI

      10.1111/j.1365-2583.2011.01111.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Juvenile hormone mediates developmental integration between exaggerated traits and supportive traits in the homed flour beetle Gnatocerus cornutus2012

    • 著者名/発表者名
      Okada Y, Gotoh H, Miura T, Miyatake T, Okada K
    • 雑誌名

      Evolution & Development

      巻: (印刷中)(未定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Heritability of male mandible length in the stag beetle, Cyclommatus metallifer2012

    • 著者名/発表者名
      Gotoh H, Fukaya K, Miura T
    • 雑誌名

      Entomological Science

      巻: (印刷中)(未定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Juvenile Hormone Regulates Extreme Mandible Growth in Male Stag Beetles2011

    • 著者名/発表者名
      Gotoh H, Cornette R, Koshikawa S, Okada Y, Lavine LC, Emlen DJ, Miura T
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 6(6) ページ: e21139

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0021139

    • 査読あり
  • [学会発表] 性決定遺伝子dsxはクワガタの性特異的な大顎発達を制御する2011

    • 著者名/発表者名
      後藤寛貴・三浦徹
    • 学会等名
      日本動物学会第82回大会
    • 発表場所
      (旭川)大雪クリスタルホール
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] Developmental mechanisms of sex-specific mandibular growth in stag beetles2011

    • 著者名/発表者名
      後藤寛貴・三浦徹
    • 学会等名
      日本進化学会第13回大会
    • 発表場所
      (京都)京都大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-30

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公開日: 2013-06-26  

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