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2011 年度 実績報告書

高品質ヘテロ界面・大結晶粒鉄シリサイドによる、高効率赤外発光・受光デバイス

研究課題

研究課題/領域番号 09J03500
研究機関筑波大学

研究代表者

鈴野 光史  筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード鉄シリサイド / 受光素子 / 発光素子
研究概要

本研究では、β-FeSi_2を用いた外部量子効率1%のSiベースのLED、さらに外部量子効率50%のフォトダイオード(PD)の実現を目指す。
(1)ELOG法による結晶粒径10μm超のβ-FeSi_2薄膜の実現に向けた実験
本年度は、Si(001)基板上にμmサイズの開口部を設けたSiNxマスクを作製した試料及び、マイクロパターンに加工した極薄top-Si(001)層を持つSOI基板を用いて、ELOG法による結晶粒径10μm超のβ-FeSi_2薄膜の実現に向けた実験を行った。SiNxマスクを用いた試料においては、MOCVD成長時に、最適成長温度・最適成長速度を選択することで、開口部への支配的な選択成長と、開口部からSiNxマスク上部への横方向エピタキシャル成長が確認できた。さらに、SOI基板を用いることで、完全な選択成長にも成功した。これら2つ(選択成長、横方向エピタキシャル成長)は、ELOG法による結晶粒径10μm超のβ-FeSi_2薄膜を実現する上で最も重要になる成長様式である。従って、大粒径鉄シリサイド薄膜の実現に大きく近づいたといえる。
(2)原子状水素援用MBE法を用いたキャリア密度低減に関する実験
MBE法で作製したβ-FeSi_2薄膜はp型伝導を示し、一般的に10^<18>~10^<19>cm^<-3>程度の残留キャリア密度が存在する。アクセプタとして振舞うSi原子空孔がこの主な原因であると考えられている。本研究では、MBE成長中に原子状水素を同時照射することにより、Si原子空孔を不活性化し、残留キャリア密度の低減を目指す。水素照射しない試料と比較して、水素照射した試料では、さらにキャリア密度が水素照射量に応じて低減し、最小で10^<16>cm^<-3>前半のキャリア密度を持つ試料が得られた。伝導型は水素照射によりn型に変化し、移動度も約300cm^2/Vsにまで向上した。一方、分子状水素を照射して作製した試料では、電気特性は照射しない場合とほぼ変わらない特性を示した。従って、電気特性の向上には、原子状の水素が必須であることが分かった。今後は、原子状水素照射の有無による伝導型の変化を利用し、pn接合を持つ受光素子を作製していく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Metalorganic chemical vapor deposition of β-FeSi_2 seed crystals formed on Si substrates2011

    • 著者名/発表者名
      M.Suzuno, K.Akutsu, H.Kawakami, K.Akiyama, T.Suemasu
    • 雑誌名

      Thin Solid Films

      巻: 519 ページ: 8473-8476

    • DOI

      10.1016/j.tsf.2011.05.029

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Minority-carrier diffusion length, minority-carrier lifetime and photoresponsivity in β-FeSi2 layers grown by molecular-beam epitaxy2011

    • 著者名/発表者名
      K.Akutsu, H.Kawakami, M.Suzuno, T.Yaguchi, K.Jiptner, J.Chen, T.Sekiguchi, T.Ootsuka, T.Suemasu
    • 雑誌名

      Journal of Applied Physics

      巻: 109 ページ: 123502-1-123502-6

    • DOI

      10.1063/1.3596565

    • 査読あり
  • [学会発表] MicroChannel epitaxy of ss-FeSi_2 on Si (001) Substrate2011

    • 著者名/発表者名
      M.Suzuno, K.Akutsu, H.Kawakami, T.Yaguchi, K.Akiyama, T.Suemasu
    • 学会等名
      Asian School-Conference on Physics and Technology of Nanostructured Materials
    • 発表場所
      Vladivostok, Russia
    • 年月日
      2011-08-26

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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