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2011 年度 実績報告書

新型ブドウ球菌エンテロトキシンの分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09J03753
研究機関岐阜大学

研究代表者

小野 久弥  岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード黄色ブドウ球菌 / エンテロトキシン / 嘔吐型食中毒 / 肥満細胞 / 脱顆粒 / スンクス
研究概要

黄色ブドウ球菌の産生するブドウ球菌エンテロトキシン(SEs)は嘔吐活性を持ち、ヒトおよび霊長類において経口的に摂取されると嘔吐型食中毒を引き起こす。SEAの嘔吐発現機序は長年不明であったが、申請者は前年度までの研究により、嘔吐モデル動物であるスンクスを用い、経口投与されたSEAは胃および腸管の粘膜下組織に存在する肥満細胞へと結合し、脱顆粒を引き起こすことを明らかにした。また、SEAは経口投与だけでなく腹腔内投与によっても嘔吐を引き起こすことが知られているが、その作用機序が二つの投与経路で同等であるかは不明であった。
SEAを腹腔内投与した個体においてSEAの体内動態を形態学的解析により観察したところ、SEAを経口投与した個体と同様に、SEAが肥満細胞に結合していることが明らかとなり、腹腔内投与における嘔吐発現においても粘膜下組織肥満細胞が重要な役割を果たしていることが示唆された。
さらにスンクス嘔吐モデルにおいて、SEAによる嘔吐が確認された個体を用いて脱顆粒阻害剤を投与後、SEAを投与し嘔吐の有無を確認したところ、経口投与および腹腔内投与されたSEAによる嘔吐が脱顆粒阻害剤により抑制されることが明らかになった。このことからSEAの嘔吐活性発現機序において肥満細胞の脱顆粒が重要な役割を果たすことを示された。
以上の結果は、SEAによる嘔吐発現機序の解明に役立つだけでなく、SEAの消化管内腔から粘膜下組織肥満細胞へ移行する経路を明らかにする上で重要な知見である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

SEA受容体の探索は進んでいないものの、SEAによる嘔吐発現における脱顆粒の重要性および腹腔内投与におけるSEAの体内動態をin vivoにおいて明らかにし、スンクス嘔吐モデルの有用性を示すことができたため。

今後の研究の推進方策

未だ嘔吐発現におけるSEA受容体が明らかになっていないため、肥満細胞におけるSEA受容体の検索をタンパク質間相互作用を利用して同定し、SEA投与により脱顆粒に至るシグナル伝達経路を明らかにする。また、嘔吐活性の消失が確認されているSEA変異体の生体内動態を免疫蛍光染色を用いて観察し、SEAの消化管内腔から肥満細胞へと至る移行経路において重要なタンパク質内構造を明らかにする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Submucosal mast cells in the gastrointestinal tract are a target of staphylococcal enterotoxin type A2012

    • 著者名/発表者名
      Ono HK, Nishizawa M, Yamamoto Y, Hu DL, Nakane A, Shinagawa K, Omoe K
    • 雑誌名

      FEMS Immunology and Medical Microbiology

      巻: 64 ページ: 392-402

    • DOI

      10.1111/j.1574-695X.2011.00924.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Acidic environments induce differentiation of Proteus mirabilis into swarmer morphotypes2011

    • 著者名/発表者名
      Fujihara M, Obara H, Watanabe Y, Ono HK, Sasaki J, Goryo M, Harasawa R
    • 雑誌名

      Microbiology and Immunology

      巻: 55 ページ: 489-493

    • DOI

      10.1111/j.1574-695X.2011.00924.x

    • 査読あり
  • [学会発表] ブドウ球菌エンテロトキシンAの消化管における標的細胞は肥満細胞である2011

    • 著者名/発表者名
      小野久弥
    • 学会等名
      第56回日本ブドウ球菌研究会
    • 発表場所
      高知
    • 年月日
      2011-09-23

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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