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当該年度において、以下の研究成果を挙げた。
(1)不斉リン原子を主鎖に有する光学活性高分子の合成と構造変換
不斉リン原子を主鎖に有する光学活性高分子を合成し、リン原子の特徴を活かして遷移金属を配位させた。遷移金属の配位する前後で、高分子の構造が大きく変化したことを見出した。さらに、配位形式に応じて全く異なる高次構造を形成することが判った。本高分子は、配向制御や高分子不斉触媒などへの応用が期待できる。
(2)不斉リン原子を構成要素に用いた新規ホスファクラウンの合成と機能
以前、我々は不斉リン原子を環骨格に有するクラウン-エーテル誘導体である「不斉ホスファクラウン」を合成した。本年度において、環サイズの異なる不斉ホスファクラウンを合成する事に成功し、その構造を詳細に解析した。さらに、不斉ホスファクラウンのパラジウム錯体を合成し、これを用いた触媒的不斉反応を行った。触媒の活性・選択性は環サイズに依存して大きく変化することが判り、単結晶X線構造解析によってその要因を突き止めた。
(3)不斉オリゴホスフィンの合成
異なる置換基を持つ不斉リン原子を規則正しく配列した不斉オリゴホスフィンを合成する事に成功した。本オリゴホスフィンは、置換基の種類によって部位ごとに異なる配位能を示すことが判った。さらに、複核錯体の合成にも成功しその構造を単結晶X線構造解析により同定した。様々な錯体を配列可能なテンプレートとして期待できる。
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