研究概要 |
研究の意義 本研究では,虚血性心疾患の診断の際によく用いられるCT画像とSPECT画像を自動位置あわせし,統合表示する手法の開発を行った,CT画像とSPECT画像は,それぞれ別のモダリティにより撮影するものであり,これらを統合表示するにはそれぞれを位置あわせする必要がある.しかし,特にSPECT画像は解像度が低くCT画像のような解剖学的な形状情報も得られないため,これらの画像をその画素値を参考にマニュアルで位置あわせすることは難しい.本研究で開発した手法を用いると,簡単なマニュアル操作を行うだけで,これらの画像を位置あわせし統合表示することができる 内容 開発した手法では,CT画像とSPECT画像の位置あわせの際に,中間でアトラスデータとの位置あわせを行う.アトラスデータは,SPECT画像の平均的な画素値情報(複数患者のSPECT画像の平均から得る)と加えて,心臓の左心室の座標系に由来する,左心室の長軸ベクトル・短軸ベクトルおよびその原点と左心室長を有するデータである. CT画像とSPECT画像の位置あわせを行うにあたってまず,患者CT画像にアトラスデータと同様の軸の設定を行う.軸の設定はアプリケーションのGUI上で,数回のマウスクリックとドラッグで行うことができる.次に,患者CT画像の長軸ベクトル・短軸ベクトルとアトラスのそれぞれの軸ベクトルが一致するよう患者CT画像を平行移動と回転により変換する.この変換は数式を解くことにより一意に求めることができる.最後に患者SPECT画像とアトラスデータの位置あわせを行う.この位置あわせは,患者SPECTとアトラスデータの画素値が,同じ値で重なりあうよう平行移動と回転変換を行う.この変換は,最急降下法により最適化問題を解くことで求めることができる.これら二つの変換を行うことで,アトラスデータ上で患者CTと患者SPECTの位置あわせが完了する.
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