研究概要 |
ゼブラフィッシュ手綱核は少なくとも三つの領域から構成されることがこれまでの研究から明らかとなった(Amo et al.,2010; Aizawa et al.,2005,2007)。さらにこれらの領域はそれぞれ固有の投射関係を備えており、その機能に迫るためには各領域特異的な神経活動、神経伝達の操作が必須となる。 本年度は手綱核での各領域特異的な遺伝子組換えゼブラフィッシュ系統の作出を主に行い、機能解析実験の基盤を整えた。 (1)背側手綱核内側亜核特異的遺伝子組換え系統 Tg(brn3a-hsp70 : GFR)ではGFPが内側亜核特異的に発現誘導される。同様の制御領域を用いた brn3a-hsp70 : GFP-Cre系統の作出を試み、背側手綱核内側亜核の一部と腹側手綱核特異的にCreを発現する系統を得ることができた。今後これまでに確立されている他の手綱核特異的系統との組み合わせにより内側亜核特異的な操作を試みる。 (2)腹側手綱核特異的遺伝子組換え系統 これまでにGeneChip解析により同定した腹側手綱核特異的遺伝子daoおよびppp1r14abについてそれぞれの領域を含むBAC cloneを同定し、それらを用いて腹側手綱核特異的遺伝子組換え系統を作出した。 また、背側手綱核外側亜核の神経伝達阻害実験によりこの領域が学習依存的な恐怖反応の制御を行っていることをNature Neuroscieceに共著者として発表した(Agetsuma et al.,2010)。
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