本研究は、世界有数の産油国であるクウェート国について取り上げ、今日クローバル規模で展開されているイスラーム復興運動が、クウェートの政治・経済にどのような影響を与えているのか、また、クウェート国民議会がこれらのなかでどのように機能しているのかを考察する。 本年度の研究計画は以下の2点であった。すなわち、第1に学術誌への投稿および学会等での発表を行い、上記のような課題について成果を報告すること。第2に、2か月程度の現地調査を実施し、これまでの研究のフォローアップを行うと同時に、今後の研究課題に関する文献等の資料を収集すること。 第1の成果報告については、2009年5月に行われた日本中東学会第26回年次大会において発表を行い、2009年9月には湾岸諸国の政治・経済に関する研究会にて発表を行った。また、国際ワークショップにおける発表としては、2009年7月に行われたワークショップにて2009年にクウェートで実施された第13回国民議会総選挙の選挙分析を報告し、2009年12月には、カイロ(エジプト)で開催されたイスラーム地域研究国際会議にて発表した。 第2の現地調査については、2010年1月15日~2010年3月16日にかけて調査地であるクウェートで調査を行った。調査では、国民議会の現職議員や有権者へのインタビューから、第13回国民議会総選挙の追跡調査を実施した。また、今後の研究課題であるクウェートの政府系ファンドと国民議会、イスラーム金融との関係についても、現職議員へのインタビューのほか、クウェート国営通信などが作成している諸資料の入手といった成果をあげることができた。
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