研究概要 |
本研究では球状シロキサンを従来のシランモノマーのゾルゲル法で得る方法ではなく、有機合成のように樹状ポリシロキサンを合成する方法で作ること、および得られた球状シロキサンの集積および利用することが目的である。 1.表面に反応サイトのある樹状シロキサンの合成 本年度は表面に反応サイトがある樹状シロキサンの合成およびその表面の反応サイトの反応性について調査した。かご型シロキサンオリゴマー(D4R)をコアとして、その頂点を段階的にシリル化(トリエトキシシリル化(-Si(OEt)_3)とそれに続くジメチルシリル化(-SiHMe_2))によって、デンドリマー表面に24個のSi-H基を有する、Si原子40個からなるおよそ1.5nm程度のサイズのデンドリマー(DMS-1)の合成に成功した。その表層のSi-H基は1-ヘキサデセンやビニルトリエトキシシラン、アリル末端テトラエチレングリコールモノメチルエーテルなどとのヒドロシリル化反応が進行することが分かった。したがって、DMS-1は表面に24個の反応性のSi-H基を有した極めて小さなシリカナノ粒子とみなすことができる。また、溶媒に溶解するため安定な粒子として扱うことが可能である。以上の研究は対外的にも評価が高く、International Sol-Gel Conference 2009および第13回ケイ素化学シンポジウムでポスター賞を頂いた。 2.加水分解を経ないルイス酸触媒によるアルコキシシロキサンオリゴマーの合成 多様な樹状シロキサンを合成する上で、ビルディングブロックとなるアルコキシシロキサンオリゴマーを自在に作ることが重要となる。嵩高いテトラアルコキシシラン(Si(OR)_4,R=t^Bu,CHPh_2)とクロロアルコキシシラン(ClSiH(OR')_2,R'=Me,Et)をルイス酸触媒下で混合することでアルコキシシロキサンペンタマー(Si(OSiH(OR'))を選択的に合成することに成功した。このようなペンタマーは従来の加水分解を経る方法で合成することは困難である。したがって、本手法を用いることで従来は作ることが困難であったアルコキシシロキサンオリゴマーを作ることが可能になると期待される。
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