今年度は、球面2デザインの一般化に当たる多項式空間に対して、その多項式空間がアソ球面デザインは球面の有限部分集合で、球面上の関数空間をこの有限集合上の関数空間で近似するものである。 有限個の点で全体を近似できる球面デザインは、数値解析などでの応用されている。従って球面デザインの構成問題は重要な問題である。 今年度は、球面2デザインの一般化に当たる多項式空間に対して、その多項式空間がQ多項式アソシエーションスキームの構造を持つための条件について研究を行った。 球面デザインがQ多項式アソシエーションスキームの構造を持てば、Bose-Mesner代数と呼ばれる代数を用いて様々なデザインの性質を導くことができる。 この研究の結果として、多項式空間のexcessと呼ばれる値を用いてQ多項式アソシエーションスキームの構造が入る条件の特徴付けを与えた。 先行結果として1997年にFiolとGarrigaが与えた有限グラフのexcess theoremがあり、今回の結果はFiolとGarrigaの定理の双対版にあたる。 このexcess theoremとは、距離構造が入った有限集合の局所的な情報から定まる固有値と大域的な情報から定まるexcessの関係を与えるものである。更にこの定理は、局所的な情報から大域的な情報が得られるときに元の有限集合がアソシエーションスキームの構造を持つということにも言及している。 今後、多項式空間のexcess theoremにより、Q多項式アソシエーションスキームの理論と球関数を用いた離散幾何解析の理論の関係をより深く理解できるようになり、球面デザインの構成問題の発展への貢献が期待される。
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