研究課題
1段型及び2段型のアレイ導波路回折格子型可変分散補償回路について、素子特性をシミュレートする数値計算プログラムを作製した。また、これを用いてレンズ型位相補償部の最適設計を実施した。これは市販のシミュレータでは不可能であり、重要な成果である。以前十分な性能が得られていなかった1段型の分散補償器について、温度制御法を改善するなどして試作・評価を行った。結果、分散補償範囲として360ps/nmを得、前試作品に比して3倍近い可変幅を達成した。また、NTT研究所の協力を得て、40Gbps信号による補償実験にも成功し、良好な補償性能を持つことを確かめた。この成果は国際会議で報告されたほか、査読付論文が掲載された。最終目標である2段型回路については前述のシミュレーションプログラムを用いて理論的・数値的検討を行い、高分散時に狭帯域化が抑制できることを確かめた。また、試作へ向けて詳細な回路設計を行った。本年度の試作では、分散補償回路のほか、位相補償部に用いる光学樹脂の屈折率を高精度に評価するためのMach-Zehnder干渉計型光回路も作製した。これによって、信越化学製のジメチル型およびメチルフェニル型シリコーン樹脂の屈折率を明らかにした。この結果は分散補償器の高精度設計に重要である。また、今後の試作において樹脂の温度を低電力で効率的に制御するため、集積型金属ヒータの利用可能性をコンピュータを用いた熱伝導解析により検討し、基板温度制御素子とヒータの位置関係やヒータ形状などが素子性能に与える影響を明らかにした。そのほか、Si細線導波路を用いた分散補償回路の実現可能性を探るため、基礎部品である交差導波路の性能向上のために検討を加えた。また、当初計画には含まれていないが、Si導波路と相変化材料を用いた光スイッチに関する研究にも携わり、その成果が論文誌に掲載された。
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