本年度は、科学研究費補助金(研究成果公開促進費)の交付を受け、『ボグド・ハーン政権の研究-モンゴル建国史序説1911-1921』(風間書房)を上梓し、「モンゴル国立図書館所蔵モンゴル語マニュスクリプト目録」を編集し、『早稲田大学モンゴル研究所紀要』(別冊)に掲載した。また、6月28日から7月15日にかけてモンゴル国において史料調査を実施し、モンゴル国立図書館において『資治通鑑綱目』の満洲語訳からのモンゴル語重訳を発見、これを『日本モンゴル学会紀要』第41号において紹介するとともに、7月30日から8月6日に内モンゴルのフフホト、およびオルドスにおいて調査を行い、チンギス・ハーンの八白室に関する文献・史料を収集した。この成果は、11月7日に開催された史学会大会において、「ボグド・ハーン政権におけるチンギス・ハーンの表象-八白室の移転をめぐって-」として口頭発表を行った。この他、10月31日に開催された「津和野の西周からアジアの西周へ」と題された第8回西周シンポジウムにおいて、「モンゴルにおける万国公法の受容と適用」という報告を行い、「翻訳概念と近代東アジア研究会」、「ユーラシア世界研究会」において、それぞれ11月21日に「独立宣言後のモンゴルの政治的地位-「独立」、「自立」、「自主」、「自治」をめぐって」、12月4日に「20世紀初頭の極東国際関係」という報告を行った。加えて、本年度は10月13日、14日にモンゴル国において開催された国際シンポジウム「1913年のモンゴル・チベット条約」に参加し、世界の研究者との学術交流を積極的に行った。
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