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2009 年度 実績報告書

イネ冠根形成の分子機構解明とその根系形態改良への応用

研究課題

研究課題/領域番号 09J05221
研究機関名古屋大学

研究代表者

木富 悠花  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードイネ / 冠根 / 発生分化 / オーキシン / サイトカイニン / 突然変異体
研究概要

本研究課題では、最適環境下におけるイネのさらなる多収化および節水栽培に適した品種育成を目指し"根の発生量の改変"を試みている。そのために申請者らは、イネの根系を特徴づけているひげ根(冠根)の数が著しく減少するcrown rootless(crl)変異体を用いた冠根形成メカニズムの解析を進めている。その中でもオーキシンシグナル伝達経路上で機能し冠根形成を制御する遺伝子であると考えられるCRL5遺伝子は、冠根数を人為的に制御する上で重要な遺伝子であると推測された。CRL5はシロイヌナズナのAINTEGUMENTAと相同性の高い遺伝子であり、crl5変異体においては冠根原基のinitiationが阻害される。ところがこのCRL5過剰発現個体は地上部形態に異常が生じることがあるため、そのまま本遺伝子を育種に利用することはできないと考えられた。そこでまず冠根形成部位特異的に発現するCRL1のプロモーター制御下でCRL5を発現させたが、本形質転換体においては地上部諸形質への影響は見られなかったものの冠根数増加の誘導も観察されなかった。この結果を踏まえ、次にCRL5の下流で機能しCRL5よりもより冠根形成に特化していると考えられる遺伝子の探索を試みた。
CRL5過剰発現体は、本来カルスが根を再分化させることができないような高濃度のサイトカイニン条件下においても根を再分化させることができた。そこでサイトカイニンシグナリングにおいて負の制御因子であるtype-A response regulator(RR)の発現を野生型とCRL5過剰発現体との間で比較してみたところ、13個存在するイネOsRR遺伝子のうちOsRR1およびOSRR2の発現が過剰発現体で上昇していた。これら2つの遺伝子は反対に、crl5変異体においては野生型に比べて発現が低下していることも併せて判明した。以上より、CRL5は冠根形成を阻害するサイトカイニンシグナリングを負に制御するOsRR1やOsRR2を正に制御することで冠根形成を促進していると考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 学会発表 (6件)

  • [学会発表] 浸透圧ストレス下でのイネ根系の分枝を促進するLMS1の遺伝子の解析2010

    • 著者名/発表者名
      中村真也
    • 学会等名
      日本育種学会第117回講演会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2010-03-27
  • [学会発表] CROWN ROOTLESS5遺伝子によるイネ冠根形成の制御機構2010

    • 著者名/発表者名
      木富悠花
    • 学会等名
      日本育種学会第117回講演会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2010-03-27
  • [学会発表] イネ冠根形成の分子機構解明2009

    • 著者名/発表者名
      木富悠花
    • 学会等名
      第17回育種学会中部支部地区談話会
    • 発表場所
      静岡大学
    • 年月日
      2009-12-05
  • [学会発表] オーキシンによる側根メリステムサイズの制御2009

    • 著者名/発表者名
      中村真也
    • 学会等名
      第31回根研究集会
    • 発表場所
      秋田県立大学
    • 年月日
      2009-11-21
  • [学会発表] Functional analysis of CROWN ROOTLESS5 gene, which regulates crown root formation in rice.2009

    • 著者名/発表者名
      Yuka Kitomi
    • 学会等名
      6th International Rice Genetics Symposium 2009
    • 発表場所
      Manila, Philippines
    • 年月日
      2009-11-17
  • [学会発表] 天水田での収量安定性を目指した根系形態改良の試み2009

    • 著者名/発表者名
      犬飼義明
    • 学会等名
      第30回根研究集会
    • 発表場所
      道立足寄少年自然の家ネイパル足寄
    • 年月日
      2009-05-09

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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