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2010 年度 実績報告書

KIBRAによる上皮細胞極性制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 09J05317
研究機関東京大学

研究代表者

吉濱 陽平  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードKIBRA / aPKC / 上皮細胞極性 / エキソサイトーシス / アピカル膜形成
研究概要

前年度より引き続き、細胞極性制御因子PAR-aPKC複合体が上皮細胞の極性を制御する新規分子機構を解明することを目的とし、aPKC結合タンパク質KIBRAの上皮細胞極性形成への関与を検討した。前年度までの解析により、KIBRA発現抑制細胞ではアピカル膜形成が促進するという表現型が得られたが、この原因がアピカル膜のエンドサイトーシスが阻害されているためなのか、エキソサイトーシスが促進されているためであるかは不明であった。そこでEGFP融合p75神経成長因子受容体を用いてアピカル膜の動きを可視化したところ、新規合成されたEGFP融合p75の細胞膜上への移行量がKIBRA発現抑制細胞で顕著に上昇することが明らかとなった。このことはアピカル形成促進の原因が、アピカル膜タンパク質のエキソサイトーシスが促進しているためであることを示している。また、KIBRA発現抑制細胞で得られた表現型を確定するために、EGFP融合KIBRAあるいはaPKC結合領域を欠いたEGFP融合ΔC-KIBRAをレスキューした細胞株を取得した。全長のKIBRAをレスキューした場合は、KIBRA発現抑制によるアピカル膜の拡張を抑制することができたが、ΔC-KIBRAをレスキューした場合は、その抑制の度合いが弱いことがわかった。このことから、KIBRAはaPKCとの結合を介してアピカル膜の拡張を抑制することが示唆された。KIBRA発現抑制細胞にaPKC阻害剤を添加し表現型の回復がみられるかどうか解析したところ、aPKC阻害剤の添加により、KIBRA発現抑制細胞でのアピカル膜過形成を抑えることができた。以上の結果から、KIBRAはaPKC活性の抑制を介してアピカル膜のエキソサイトーシスに対し抑制的に働き、過剰なアピカル膜形成を抑え、上皮極性を維持していることが明らかとなった。KIBRAは最近ショウジョウバエで臓器サイズを制御するHippo経路との関与が報告されたが、本成果は臓器サイズを制御するHippo経路と細胞極性を制御するPAR-aPKC経路をつなぐ生化学的な証拠を初めて提示した。この成果はCurrent Biology誌に受理された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] KIBRA suppresses apical exocytosis through inhibition of aPKC activity in epithelial cells

    • 著者名/発表者名
      Yohei Yoshihama
    • 雑誌名

      Current Biology

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] KIBRA Suppresses Apical Exocytosis through Inhibition of aPKC Kinase Activity in Epithelial Cells2010

    • 著者名/発表者名
      吉濱陽平
    • 学会等名
      50th Annual Meeting of the American Society for Cell Biology
    • 発表場所
      米国フィラデルフィア市
    • 年月日
      2010-12-14
  • [学会発表] KIBRAはaPKC活性の抑制を介してアピカル膜形成を制御する2010

    • 著者名/発表者名
      吉濱陽平
    • 学会等名
      BMB2010(第32回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会合同大会)
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2010-12-07

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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