本年度の研究の成果は(1)マテリアルフローコスト会計のアクションリサーチの実施、(2)マテリアルフローコスト会計と管理可能性についての研究、(3)研究の背景としての理論的考察の3つの点からまとめることができる。まず一つ目に関して、前年度から実施してきたマテリアルフローコスト会計の導入に関するアクションリサーチは、対象企業である日本電気化学で今年度、別の加悦工場へと導入を展開するとともに、新たに辻製作所での導入事例が進行している。これらの調査から中小企業でのマテリアルフローコスト会計の導入と活用の効果と課題が明らかとなった。またこれらのアクションリサーチの結果は国内外の学会等で報告している。つぎにマテリアルフローコスト会計と管理可能性の関係について、アクションリサーチと並行してさまざまな導入企業へのフィールドリサーチなどを勘案したうえでロス削減のマネジメントの問題を考察している。国内での学会発表を経て、現在、論文の投稿段階にある。最後にこれらのマテリアルフローコスト会計への問題関心を考察する理論的な背景として共約化の概念の採用するため、先行研究などを踏まえたうえで分析視角の整理を行っている。この理論的な展開に関しても国内学会で発表しており、投稿を検討する段階にあるとともに、マテリアルフローコスト会計との関係をより明確にしたうえで海外の学会で発表する段階にあり、22年度に開催される学会での発表はすでに採択されている。
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