研究概要 |
リコンフィギャラブルVLSIの消費電力が専用VLSIと比べて十数倍となる問題点がある.また応用範囲の拡大によって,高信頼性・高セキュリティ性が要求されるようになった.本研究では,演算負荷および回路の状態に応じて,電源電圧・演算並列度・故障修復などを自律的にリアルタイムで最適化するアーキテクチャ,また暗号モジュールの情報漏洩を防ぐ高セキュリティリアーキテクチャを開拓する.本年度では,以下の研究を実施した. 1.同期・非同期ハイブリッドアーキテクチャの確立 非同期式回路はクロックツリーによる消費電力がないため,演算負荷の低い部分回路において電力効率が良い.一方,同期式回路は非同期式回路と比べ構成が簡単であるため,演算負荷の高い部分回路において電力効率が良い.そこで,同期式回路と非同期回路それぞれの利点を活かし,それぞれの部分回路が演算負荷に応じて同期式回路あるいは非同期式回路として動作できる低消費電力アーキテクチャを開発した. 2.演算セルの故障予測・検出を行うアーキテクチャの確立 縮退故障,オープン故障,ブリッジ故障,遅延故障などのハードウェア故障では,故障の前兆として,遅延が増大する.また,実際に故障が起きた場合,信号の遷移が起こらないため,遅延を無限大と見なすことができる.非同期符号化方式である2線方式では,演算セルの遅延を検出できる.また,束データ方式では,予め演算セルの最大遅延が遅延素子で定義されている.そこで,2線方式で演算セルの実際の遅延を検出し,それを束データ方式で予め定義されている最大遅延を比較することで,回路の故障を検出できるアーキテクチャを開発した.将来的には,検出した情報を基に故障した回路を切り離し,空いている演算セルにマッピングするアーキテクチャを開発する.
|