Runx1遺伝子組織特異的欠損マウスを解析し、転写因子Runx1の軟骨細胞分化における機能解析を行った。Runx1は発生期の軟骨細胞分化初期、特に胸骨で強く発現する。軟骨細胞特異的なRunx1遺伝子欠損マウスは異常を示さなかったが、一方で軟骨細胞の原基となる間葉系細胞においてRunx1遺伝子を欠損させると胸骨の軟骨細胞分化に遅延が見られ、さらに間葉系細胞特異的Runx1Runx2二重欠損の新生児マウスは胸骨を欠損した。間葉系細胞特異的Runx1Runx2二重欠損マウスの胸骨原基では、軟骨細胞分化に関与するSox5、Sox6の発現が低下していた。細胞培養系においては、Runx1、Runx2の過剰発現によってSox5、Sox6の発現が誘導された。また、Runx1とRunx2は、Sox6のプロモーター領域に結合し転写活性を誘導した。 一連の検討から、Runx1は、Runx2と協調してSox5、Sox6の発現を介し、軟骨細胞分化初期を調節することを示した。
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