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2009 年度 実績報告書

表面・界面を利用した低次元有機・無機複合物質の革新的機能の創出

研究課題

研究課題/領域番号 09J05491
研究機関東北大学

研究代表者

井口 弘章  東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード有機・無機複合ペロブスカイト / ナフタレンジイミド(NDI)誘導体 / 有機半導体 / 分子性導体 / アニオンラジカル / 鉛ハライド錯体
研究概要

臭化鉛を無機層とした有機・無機複合層状ペロブスカイトにおいて、有機層に導入する機能性分子として、n型有機半導体として知られているナフタレンジイミド誘導体(NDI-en)を合成し、導入を試みた。その結果、単結晶の合成の過程で用いた貧溶媒の種類によって、結晶構造の異なる3種類の有機無機複合体(NDI-en)Pb_2Br_6・2.5H_2O(1)、(NDI-en)PbBr_4(2)、(NDI-en)_2PbBr_5・1.8H_2O(3)を作り分けることに成功した。このうち1は層状構造、2及び3は一次元カラム構造を有していた。NDI-enはn型有機半導体であるので、光照射によって電子正孔対を生成させれば、1においては電子はNDI-en層、正孔は臭化鉛層に電荷分離され、光電流が流れると考えられる。残念ながら現在のところ光電流の観測には成功していないが、これは分子サイズレベルでn型とp型の半導体が交互に、しかも単結晶であるので非常に精密に積層した初めての化合物であり、このようなアプローチは今後の有機太陽電池等への応用へもつながると考えられる。また、3は原料にはない黒色の結晶であり、電気伝導度も室温で5Scm^<-1>と比較的高い値であったことから電荷移動錯体となっている可能性が示唆された。そこでESRスペクトルなどを解析したところ、NDI-en一分子あたり0.5電子還元され、ラジカルが生成していることが明らかとなった。ナフタレンジイミド骨格を有するラジカルは溶液や粉末では種々研究されていたが、単結晶としてラジカル種を捉えた例はなく、3はその初めての例である。これらの結果は今後の伝導性超分子等の設計においてもインパクトを与えるものと考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Water-Vapor-Induced Reversible Switching of Electronic States in a MMX-Type Chain Complex with Retention of Single Crystallinity2010

    • 著者名/発表者名
      H.Iguchi, S.Takaishi, H.Miyasaka, M.Yamashita, H.Matsuzaki, H.Okamoto, H.Tanaka, S.Kuroda
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition vol.49

      ページ: 552-555

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 溶媒吸脱着による二元系MMX-Chain錯体の電子相制御2009

    • 著者名/発表者名
      井口弘章
    • 雑誌名

      Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry Vol.53

      ページ: 96-99

  • [学会発表] ナフタレンジイミド誘導体と擬一次元臭素架橋鉛錯体からなる分子性導体の物性2010

    • 著者名/発表者名
      井口弘章、高石慎也、久保和也、宮坂等、山下正廣
    • 学会等名
      日本化学会第第90春期年会
    • 発表場所
      東大阪
    • 年月日
      2010-03-28
  • [学会発表] ナフタレンジイミド誘導体と低次元鉛ハライド錯体からなる有機・無機複合結晶の物性2009

    • 著者名/発表者名
      井口弘章、高石慎也、宮坂等、山下正廣
    • 学会等名
      第59回錯体化学討論会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2009-09-26
  • [学会発表] Arylene diimide分子と低次元鉛ハライド錯体からなる有機・無機複合結晶の合成と物性2009

    • 著者名/発表者名
      井口弘章、高石慎也、宮坂等、山下正廣
    • 学会等名
      第3回分子科学討論会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2009-09-23
  • [学会発表] Reversible Water-Vapor-Induced Switching of Electronic State in Single Crystalline MMX-Chain Complex2009

    • 著者名/発表者名
      H.Iguchi, S.Takaishi, H.Miyasaka, M.Yamashita, H.Matsuzaki, H.Okamoto, H.Tanaka, S.Kuroda
    • 学会等名
      Japan-Canada Coordination Space Symposium 2009
    • 発表場所
      カナダ・バンフ
    • 年月日
      2009-07-09
  • [備考]

    • URL

      http://coord.chem.tohoku.ac.jp/~sakutai/

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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