研究概要 |
平成21年度の目標は,単成分系の気液界面シミュレーションから界面の基礎的な物理量を精度良く算出することと,高速計算可能な計算機パーツであるグラフィックカードの分子動力学シミュレーションへの利用であった.まず,単成分系の気液界面のシミュレーションに関しては,グラフィックカードを搭載したワークステーションにおいて実際のシミュレーションを行った後に,外部記憶装置を追加した解析用パソコンにて結果の解析を行うことで,実験などの他の手法からも関心がある様々な熱力学条件における熱力学量の高精度の算出を行った.そしてそれらの結果に関し学会発表を行った(伝熱シンポジウムなど).グラフィックカードを用いた分子動力学シミュレーションの高速化に関しては,プログラムの作成とアルゴリズムの開発を行い,通常の計算機を用いた場合と比べ高い計算精度を保ちながら高速なシミュレーションを実行した.プログラムの実装の詳細に関する学会発表を行い,また実用的な計算でグラフィックカードが有用であることを示すべくいくつかのメタンハイドレートに関する分子シミュレーションを実際に実行した結果も学会発表を行った.(計算力学講演会など)また,今後のさらなる大規模分子動力学シミュレーションの実行に向けて,グラフィックカードを複数同時に並列で使用する高速多重極子展開法のアルゴリズムの実装も行い,論文発表を行った(Computer Physics Communications).
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