本年度は、(1)これまでに作出した骨芽細胞特異的なERα欠損マウス(Ob-ERαKO)の解析、(2)オリジナルの骨細胞特異的なknock-in Creマウスの作出、(3)骨細胞特異的な核内受容体欠損マウスの作出、(4)骨芽細胞から骨細胞への分化関連因子の探索を行なった。以下にそれらの進捗状況を記す。(1)昨年度中に雄Ob-ERαKOが骨形成・骨吸収の低下した、低回転型骨粗鬆症を示すことを観察した。そこで、雄性において骨芽細胞のERαが機能していることを再確認するため、Ob-ERαKOと対照群でホルモン補充実験を行なったところ、対照群では骨量が有意に回復するが、Ob-ERαKOでは骨量の有意な回復が見られないことから、雄性において、骨芽細胞のERαを介した骨量維持作用があることを再確認した。更に、骨芽細胞におけるERαの標的遺伝子を明らかにするために、Ob-ERαKOと対照群の頭蓋骨でマイクロアレイ解析を行なった。結果、有意な発現差のある遺伝子を242個見出した。今後それら遺伝子について詳細に解析する予定である。(2)アグリゲーション法によりキメラマウス作出を試みた結果、骨細胞特異的なknock-in Creマウスのキメラが3月初旬に誕生した。(3)(2)に記したオリジナルのCreマウスに先行して、他研究室から分与してもらった骨細胞特異的トランスジェニックCre発現マウスと核内受容体floxマウスを交配し、骨細胞特異的な核内受容体欠損マウスを順調に作出している。(2)のオリジナルのCre発現マウスを用いた骨細胞特異的な核内受容体欠損マウスも順次作出し、両者のCreマウスで骨組織の変化を評価する予定である。(4)骨芽細胞から骨細胞への分化過程に関与する因子取得を、骨細胞のマーカー遺伝子であるDmplのプロモーターを用いたExpression Cloning法により試みている。現在、ベクター作製の一部が完了している状況である。
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