ITERにおいて周辺局在化モード(ELM)制御の一つに外部共鳴摂動磁場印加による能動的制御法が検討されている。しかしながら、周辺プラズマの輸送特性への影響は未だ装置間で共通の理解が得られるに至っていない。本研究は、電子サイクロトロン共鳴加熱を用いて生成した高速電子によるプラズマ電流立ち上げ及び磁気面形成を実現する球状トカマク装置(LATE)及び、外部共鳴摂動磁場を高温高密度プラズマへの印加を可能とする大型ヘリカル装置(LHD)の双方の特徴を利用し、上記の輸送特性の基礎過程を調べることを目的とする。まず、真空紫外線領域から軟X線(SX)領域のエネルギー検出に特化したAXUV検出器アレイをLArE上部ポートへの新規立ち上げを行い、これまで観測困難であった低密度領域の微弱振動を感度良く観測できることを確認した。また、LATBへの外部摂動磁場コイルの設置検討を行った。LATEプラズマのこれまでに達成している最大プラズマ電流20kAで安全係数はq>30であり、共鳴摂動磁場印加には高次のポロイダルモード数を持つコイル設計が必要であり装置サイズ等を考慮しても容易ではない。そこで、まずn=1及びn=2の低トロイダルモード数の摂動コイルを水平ポートに取り付け、非共鳴摂動磁場に対するプラズマ応答を調べることを開始した。その初期結果として、周辺プラズマの電子密度の減少と高速電子により生成されるプラズマ電流の増大が観測されたが、今後更なるプラズマパラメータ領域での実験と検討が必要である。更に、LHDにおける外部摂動磁場印加時の周辺MHD不安定性の特性への影響及び周辺局在化モード(ELM)特性について調べ、大型トカマクプラズマと類似したELM特性、ストキャスティックとなった磁場構造中での周辺圧力分布の変形とそれに伴う周辺MHD不安定性の内部構造の変形を観測した。今後、LATEとの比較検討も進める。
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