研究課題
本研究課題は、トーラスプラズマにおける共鳴摂動磁場印加時の主(バルク)プラズマ及び高速電子の輸送特性を明らかにすることを目的とする。そして、電子サイクロトロン共鳴加熱によって作りだされる高速電子を用いたプラズマ電流立ち上げ及び磁気面形成を実現する球状トカマク装置LATEの特徴を利用し、上記課題を推進している。前年度に見出された微弱な径方向摂動磁場の印加によるマイクロ波球状トカマクプラズマの性能改善の結果を受けて、水平ポートへ径方向摂動磁場コイルを4箇所から10箇所に増設し、コイル極性によるプラズマ特性への影響を調べた。同時に、AXUV検出器アレイを水平ポートへ2台新設すると共に、磁気プローブを2箇所(それぞれ径・垂直方向の測定可能)に新設することで計測面の増強も行った。その結果、径方向摂動磁場の印加位置によってプラズマ応答が異なることが分かり、LATE装置に本来不必要の不正磁場(0.5G程度)の存在が確認された。この結果を受けて、トロイダル磁場コイルの枠に沿って補正磁場コイルを6箇所に取り付け、その不正磁場の補正をしたところ径方向摂動磁場コイルと同様のプラズマ性能の改善が確認された。これらの結果は、トロイダル磁場強度のわずか0.1%程度の不正磁場を抑えることで、プラズマ電流を担う高エネルギー通過電子の減少と最外殻磁気面外側に軌道を持つ高エネルギー捕捉電子の増大が抑制されたことを示唆する。今後、最適な補正磁場に径方向摂動磁場を重畳し、その捕捉電子の制御法を模索することで、マイクロ波球状トカマクの更なる高性能化・高効率化への展開が期待される。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Plasma and Fusion Research, Rapid Communications
巻: 7 ページ: 1202005-1-1202005-4
10.1585/pfr.7.1202005
Proc.38th EPS conference on Plasma Physics
ページ: 5.129