研究概要 |
本研究では生物生息を目的とした干潟環境設計手法の構築を目標とし,コアマモ藻場・干潟複合生態系を構成する3因子間について1)コアマモの的重要性の解明,2)複合生態系の生物多様化効果の評価,3)コアマモ藻場造成手法の構築を目的として研究を行った. 1)コアマモの栄養学的重要性の解明に関しては,コアマモの繁茂期である夏季に底生動物の摂食対象物である底質有機物と水中懸濁態有機物に対する有機物起源解析を行い,コアマモ場の形成が底質有機物に関して質的に異なる場を形成していること,その供給経路としてコアマモ場で生産されたコアマモデトリタスの再懸濁と沈降が関与していることを示した.また,コアマモ場とと近傍裸地における優占底生動物に関しては,底生動物種によって摂食している有機物の組成が異なることを明らかとした.特に,ホソウミニナは他の底生動物よりもコアマモをく摂食していることが示され,コアマモ場の底質を餌源として好んでいることが示された.2)複合生態系の生物多様性の評価としては,底生動物の餌源の多様性が場の種多様性を生むということが示された.このことは,生息場に関わらず,底生動物が同化している有機物が同質であることを示している.その同化・摂食方法としては,再懸濁と沈降のプロセスによって近傍裸地やコアマモ場へ供給された,コアマモ由来有機物や底生微細藻類由来有機物を摂食・同化していると考えられた.また.移動性の高い表し性の巻貝類に限っては,底生動物自身のコアマモ場・近傍裸地間の移動による摂餌場の増大の可能性も考えられた. 3)コアマモも場造成手法の構築としては,干出と光量,水温を検討したコアマモの光合成量算出モデルを作成し,コアマモ場の生育場所をモデル的に示すことが可能となった.
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