研究課題
1.逆位作出実験:クッパー胞の形成と働きに影響を与えると報告のあるウアバイン、タプシガルジンでヒラメ胚を処理することで、Nodal経路遺伝子発現がランダム化された飼育群を得た。また環境中の微量鉱物による左右性形成への影響を考慮し、LiCl・KI等の胚への浸漬実験を行った。2.pitx2の再発現と非対称形成に関与する遺伝子・領域の探索:トラフグゲノムから網羅的に神経分化・発生に関わる遺伝子をクローニングしIsH法を用い、脳内での発現を解析した。胚期pitx2の発現後、神経分化を支配するpax6遺伝子が左右非対称に手綱核で発現することを新規に発見した。この発現は左手綱核内側でpitx2の発現と時間的にも領域的にも重複し、変態完了後も同様に確認された。胚期に脳組織の非対称な局地的特異化が行われ、それらが最終的な異体類の脳の非対称性形成へ何らかの影響を与えていると考えられる。3.飼育条件の変化・各種試薬浸漬による左右性形成への影響調査:これまでに配列情報とゲルシフトアッセイにより、異体類のpitx2配列イントロン内に甲状腺ホルモン受容体、グルココルチコイド(GC)受容体ならびに9cisレチノイン酸(RA)受容体結合配列の存在が示唆された。また飼育水の消毒条件、餌生物による発達の相違、温度変化による左右性形成への影響を考慮し合成GC/9cisRA浸漬、T3浸漬・オゾン殺菌海水・ブラジル産アルテミア給餌・高水温飼育を行った。4.頭部神経の左右性形成:蛍光トレーサー試薬と各種抗体を用いて、ヒラメ変態前期から完了後まで、視神経の走行と投射・三叉神経路の左右性形成を記述した。変態後では視神経投射領域は形態的にも容量的にも明らかな左右性を示した。また視神経束と三叉神経は眼球移動の際に追随するように非対称な湾曲をしていた。これらの非対称形成はpitx2の変態前期発現開始後に確認された。
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Development, growth & differentiation. 51(9)
ページ: 797-808