研究概要 |
本研究では、GFPでラベルしたRubiscoを発現するシロイヌナズナ形質転換体を利用した定量的マクロイメージングにより、老化時にRubisco量が減少しない変異体「stay-Rubisco mutant」を単離し、原因遺伝子を同定することを目的としている。今年度はまず、EMSによる突然変異誘発処理を行い、解析に用いるM1種子を得た。また、変異体スクリーニング系の検討を行い、自然老化過程においては葉の老化とともにGFP蛍光強度がRubisco-GFPの量を正確に反映して減少していくことを、窒素欠乏条件については、水耕栽培で栽培した植物体に窒素欠乏処理を施すことで老化促進とともにGFP蛍光強度の減少が促進されることを確認した。これらのことから、自然老化、窒素欠乏処理による選抜系の確立に成功した。両選抜系を用いて、M1種子から栽培したM2植物体の葉において、Rubisco-GFPが残存する変異体を選抜した。選抜方法としては、実体蛍光顕微鏡により大量の植物体から候補を絞った後に、蛍光イメージングシステムにより正確なGFP蛍光強度を検出するという方法を確立し、効率的な変異体スクリーニングが可能になった。この方法を用い、これまで自然老化過程において約6,000個体、窒素欠乏時について約4,000個体のM2個体を解析し、約80個体のstay-Rubisco mutant候補株を得た。その約10個体については親株との戻し交配を行い、stay-Rubiscoの表現型が遺伝的に分離することを確認した。以上の結果から表現型解析に十分な変異体を獲得することに成功したといえる。
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