本研究では、GFPでラベルしたRubiscoを発現するシロイヌナズナ形質転換体を利用した定量的マクロイメージングにより、老化時にRubisco量が減少しない変異体「stay-Rubisco mutant」を単離し、原因遺伝子を同定することを目的としている。今年度は、昨年度までに獲得したstay-Rubisco mutant系統についてより詳細な表現型解析を行った。これまで得られていた約80系統の変異体系統について、順次親株との戻し交配を行い、約60系統において、GFPでラベルしたRubiscoの蛍光強度を指標としたstay-Rubiscoの表現型が遺伝的に分離することが確認された。その中で20系統の個体については、可溶性タンパク質画分を抽出後SDS-PAGEによって分離しRubiscoタンパク質の定量を行うことで、実際に老化時の葉のRubisco減少が遅延するかを確認した。その結果、Rubiscoの減少が野生体に比べて遅れる系統が2系統得られたが、これらの個体では葉の可視的老化の指標となるクロロフィルの減少も同時に遅延していた。また他に、葉の老化時のRubisco減少速度は野生体とほぼ同程度であるが、その量が野生体に比べて高く推移する変異体が3系統得られた。以上の系統については、Rubisco分解に関与する新規因子の特定が期待される変異体系統であるかを明らかにするために、さらに戻し交配を進め表現型の解析を進める必要がある。また以上の定量解析が終了していない系統が多数有り、さらなる表現型解析と変異体選抜を進める必要がある。
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