紫外線カメラと小型紫外分光計を用いた火山噴煙中二酸化硫黄放出量の高時間分解能測定を浅間山火山、桜島火山にて行った。この観測方法を用いれば、従来の観測機器では不可能だった秒単位の火山ガス放出量時間変化を捉えることが出来、火山性地震に伴う脱ガス活動や噴火の直前の火山ガスの挙動を定量的に議論することが可能となる。 浅間山火山では2009年2月の噴火以降に火口底に孔状の窪地が確認され、この孔から火山性地震に伴う大量のガス噴出することが報告されている。2009年6月、紫外線カメラを用いた観測装置によりこのイベントを観測し、地震の大きさとガス噴出量を定量的に比較・議論した。また、その成果を国際学会(AGU)にて発表した。今後火山性地震の研究をしている研究者らと議論を進め、この噴火現象のモデル化、メカニズムを解明していく予定である。 桜島火山は、2009年以降噴火活動が非常に活発になり一日に数回以上の頻度で噴火を繰り返している。2009年12月及び2010年1月、紫外線カメラを用いて噴火直前の火山ガス放出量の変動を観測した。2009年12月のデータを解析した結果、爆発音・空振現象等を伴う比較的大規模な噴火の数分前に火山ガスの放出量が著しく減少する傾向が見られた。この観測事実は噴火前に火口が閉鎖し、内部圧力の増加に伴い噴火するという先行研究のモデルと調和的である。今後は今尚活発な噴火活動を継続中の桜島にて観測を続けデータの蓄積をすると共に、噴火直前の火山ガスの挙動と噴火自体の規模について、他の地球物理学的な観測データとつき合わせて定量的に議論を進めていく予定である。
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