本研究は、真社会性アブラムシの捕食リスクに対して示される防御形質を発見することが不可欠である。そこで今年度は、昨年度本研究で発見された真社会性アブラムシの警報フェロモンの機能と適応的意義を検証するために、真社会性アブラムシの警報フェロモンがアブラムシの分散におよぼす影響を調べた。 真社会性アブラムシのササコナフキツノアブラムシの2次寄主世代において、警報フェロモンを導入したコロニーと警報フェロモンを導入しなかったコロニーを作成し、警報フェロモンがアブラムシの薪規コロニー創設に影響するかどうかを検証した。その結果、警報フェロモンがコロニー内に存在するとアブラムシは新しいコロニーを創設しやすいことが明らかになった。このことは、放出された警報フェロモンが個体の歩き出す行動を誘導するだけでなく、分散も誘導することを示す。また、この結果は、ササコナフキツノアブラムシが母親の産出する兵隊と警報フェロモンを組み合わせて用いることで捕食者に対し適応的にふるまっていることを示唆する。
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