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2011 年度 実績報告書

小胞輸送が支配する根の水分屈性制御分子の同定と解析

研究課題

研究課題/領域番号 09J06705
研究機関東北大学

研究代表者

森脇 哲平  東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード水分屈性 / シロイヌナズナ / 小胞輸送 / GNOM / MIZ1 / MIZ2 / オーキシン / RabC1
研究概要

植物の根は、水分含量の多い空間へと屈曲伸長する水分屈性を示す。先行研究の結果、水分屈性に必須な遺伝子の探索より、細胞内小胞輸送の調節因子であるARF-GEFをコードするGNOM/MIZ2が同定されている。しかしながら、このGNOMあるいは小胞輸送系がどのように水分屈性を制御するのかという問題については明らかになっていない。そこで、本研究は水分屈性を制御する小胞輸送について、GNOMに関連した分子の探索および解析により明らかにしようとするものである。
既知の水分屈性制御分子として機能未知であるMIZ1が同定されている。MIZ1とGNOMとの関連について明らかにするため、遺伝学的解析を行った。MIZ1の過剰発現系統は根系形成の異常を示すが、miz2突然変異はMIZ1過剰発現系統の表現型を抑圧した。この結果より、GNOMはMIZ1の下流で機能することがわかった。さらに、MIZ1を過剰発現することによる根系形成の異常は、植物ホルモンであるオーキシン内生量の低下に起因することも明らかにした。
次に、水分屈性に伴う小胞輸送系の動態変化を解析するため、膜輸送およびオルガネラのマーカー分子について、これらの局在変化を解析した。その結果、RabC1が水分勾配刺激により細胞の頂端または基部側で凝集することを見出した。この変化はARF-GEF阻害剤であるBFAによっては抑制されなかったことから、RabC1の局在変化はGNOMの上流で制御されることが示唆された。一方、オーキシンを添加することで、RabC1の局在変化は抑制された。この結果は、MIZ1の過剰発現によりオーキシン量が低下するという結果と一致する。また、オーキシンの内生量を低下させると水分屈性能は向上するが、RabC1を欠損した突然変異体では、オーキシン量低下による水分屈性能の向上は認められなかった。
以上の結果より、水分屈性に機能する小胞輸送系として新たにRabC1を見出すと共に、その制御がオーキシンによって調節されていることを明らかにした。また、RabC1はGNOMの上流で機能している可能性を示した。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Light and abscisic acid signalling are integrated by MIZ1 gene expression and regulate hydrotropic response in roots of Arabidopsis thaliana2012

    • 著者名/発表者名
      Teppei Moriwaki, Yutaka Miyazawa, Nobuharu Fujii, Hideyuki Takahashi
    • 雑誌名

      Plant, Cell and Environment

      巻: (in press)

    • DOI

      10.1111/j.1365-3040.2012.02493.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MIZ1, an essential protein for root hydrotropism, is associated with the Cytoplasmic face of the endoplasmic reticulum membrane in Arabidopsis root cells2012

    • 著者名/発表者名
      Tomokazu Yamazaki, Yutaka Miyazawa, Akie Kobayashi, Teppei Moriwaki, Nobuharu Fujii, Hideyuki Takahashi
    • 雑誌名

      FEBS letters

      巻: 586 ページ: 398-402

    • DOI

      10.1016/j.febslet.2012.01.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hormonal regulation of lateral root development in Arabidopsis modulated by MIZ1 and requirement of GNOM activity for MIZ1 function2011

    • 著者名/発表者名
      Teppei Moriwaki, Yutaka Miyazawa, Akie Kobayashi, Mayumi Uchida, Chiaki Watanabe, Nobuharu Fujii, Hidesyuki Takahashi
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 157 ページ: 1209-1220

    • DOI

      10.1104/pp.111.186270

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular mechanism of hydrotropism in Arabidopsis roots and its interaction with other environmental stimuli2012

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Miyazawa, Teppei Moriwaki, Nobuharu Fujii, Hideyuki Takahashi
    • 学会等名
      1^<st> International Symposium on Plant Environmental Sensing
    • 発表場所
      Nara
    • 年月日
      20120319-20120321
  • [学会発表] 光による水分屈性発現調節機構の解析2012

    • 著者名/発表者名
      森脇哲平、小林啓恵、宮沢豊、藤井伸治、高橋秀幸
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20120316-20120318
  • [学会発表] 光とABAシグナルはMIZ1の発現調節を介して水分屈性を制御する2011

    • 著者名/発表者名
      森脇哲平、小林啓恵、宮沢豊、藤井伸治、高橋秀幸
    • 学会等名
      東北植物学会第1回大会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      20111217-20111218
  • [学会発表] マメ科植物における水分屈性発現機構の解析2011

    • 著者名/発表者名
      奈良敬孝、森脇哲平、山崎誠和、宮沢豊、高橋秀幸
    • 学会等名
      東北植物学会第1回大会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      20111217-20111218
  • [学会発表] ミヤコグサの水分屈性実験系の構築と生理学的解析2011

    • 著者名/発表者名
      奈良敬孝、森脇哲平、山崎誠和、宮沢豊、高橋秀幸
    • 学会等名
      日本宇宙生物科学会第25回大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20110930-20111001
  • [学会発表] オーキシン量の低下はシロイヌナズナ根の水分屈性能を向上させる2011

    • 著者名/発表者名
      森脇哲平、岩田悟、渡辺千秋、内田真弓、小林啓恵、宮沢豊、藤井伸治、高橋秀幸
    • 学会等名
      日本植物学会第75回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20110917-20110919
  • [備考]

    • URL

      http://www.ige.tohoku.ac.jp/tekio/index.htm

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公開日: 2013-06-26  

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